Gray.137 ページ37
.
ー貴女side
翌日に部屋に戻ると灰崎くんは居なかった。
意外と早く病院に帰ったのだなと思いつつ、昨日はあのメッセージ以外何も言ってないし先輩達に心配も掛けているだろうから
さっさと着替えて私は直ぐに朝練に向かった。
言うまでもなく練習は灰崎くん抜きの桐皇と共に行われて
帰宅すると私は直ぐにベッドに横になった。
「疲れた。」
そう言って寝返りを打った時にやっと律儀にも綺麗に直された布団に気付いて
私は制服がシワになるのも顧みずに布団の中へと潜った。
「…香水の匂いしない。」
あの後に泊まらずに病院に戻ったのだろうか。
だとしたら昨日ソファで寝損なんだけど。
自分が泊まるっつったくせに。
「……」
いや、良いじゃん、泊まろうが泊まらまいが。
ただ寝損なだけで別に支障なんて無いし。
ずっと布団に潜っていたからか、布団から出ると一気に涼しさを感じた。
熱かった。いつの間にか熱が篭っていたらしい。
頬に触れてみるとまだ熱を感じた。
少しだけ動悸もする。
これは完全に完璧に全璧に伝染ったのかもしれない。
「…マスク越しでも伝染るんだ」
手の甲でそっと自分の唇に触れてみるとマスク越しのあの柔らかな感触が思い出された。
…いやいや、キスなんて虹村先輩としてるし、何で初めてキスしたみたいに記憶を思い起こさせてるの。
忘れたいんだってば。
「…忘れなきゃいけないんだってば」
虹村先輩がするような優しいキスじゃなかった。
数秒の中に確かに含まれた男の人の欲望に触れたのは初めてで
そう、あんなキスは初めてだった。
知らないキスだった。
だから、もう一度
「違う」
マスク越しじゃなくて
「違う」
きっと今なら、簡単に奪われてしまう。
違う。好きとかじゃなくて、戸惑ってるだけ。
「違う、違う違う……ちがう…っ」
罪悪感で、違う、灰崎くんにキスされたのが悲しくて
違う?…何で、私は泣いてるんだろう。
ああ、風邪を伝染されて熱に侵されてるんだ。
"『灰崎から…マスク越しとはいえキスとか聞いた時
一瞬だけお前が灰崎を好きになって奪われるって想像をしちまってさ』"
"『…いや、否定してくんね?』"
"「…虹村先輩以外を好きになる気も付き合う気も、無いですよ」"
そう、風邪のせい。弱ってるだけ。
だからほら、昨日?はちゃんと否定出来たの。
私は虹村先輩が好き。
「…」
その言葉が酷く淡白に聞こえるのも、熱のせい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (
レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ！！作者はテメェの道具じゃねぇんだよ！！テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば？マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ！二度とリクすんな！占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：由麻 | 作成日時：2018年12月26日 1時
