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Gray.95 ページ45

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ー貴女side



隣同士で座るコタツは厚すぎるくらいだった。

それはお風呂に入った後だからかも知れない。

私が出た後すぐに虹村先輩も入ったのでまだお互い髪も濡れていて
そして、同じシャンプーの匂いが漂った。



「…良い匂い」



お互い部屋着で隣に座っていて同じ匂いで、…それが凄く特別な感じがして。

先輩の肩に寄り掛かってみると更に強く匂いを感じた。
熱いのに、離れたいとは思わなくてずっとこのまま時が止まってしまえば良いとすら思った。



「くっ付いてるとまたアイツらにからかわれるぞ」


「二人ともコタツで寝てるよ。…ついでに先輩のお母さんは台所でお蕎麦作ってくれてる」



しばらくは誰も邪魔しないですよ、と付け足すとコタツの中で私の手に虹村先輩の手が触れた。
そしてゆっくり握られて、体温以上に心拍数が上がる。



「先輩と一緒の匂い。ひとつになったみたい」


「ホント、溶けそうなくらいあちぃーっつの」


「離れましょうか」


「はは、性格悪」



そう言われ、そっと抱き寄せられる。
その時に今までよりも強く先輩の匂いがして、緩やかに心拍数が加速するのを感じながら


ふと、思い起こされた。


何で思い起こされたのかは分からない。

まるでフラッシュバックのように、一瞬だけ。



"なァ、カレシより俺にしねぇ?"



あのむせ返りそうな程に強い香水の匂いと共にそんな言葉が浮かんで来た。



けれどそれは一瞬の事で、幸せそうな虹村先輩を見上げるとすぐに忘れてしまった。



「そういや、俺の部屋の横がAの寝室部屋だって母さんが言ってたわ」


「分かりました。…ありがとうございますと、伝えておいて下さい」



彼の胸に抱かれ彼に包まれながら私はゆっくり目を閉じた。

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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月14日 6時

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