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Gray.76 ページ26

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ー虹村side




────空港から帝光中の最寄り駅に着いた時には8時半頃だった。

改札に自分の切手が吸い込まれゲートが開くのを見送ってから改札を出ると懐かしさが一気に込み上げてくる。


当たり前だが何処も彼処も皆が日本語を喋っていて安心感半端ない。
これが実家のような安心感か。

三十分前にAに送った『寝てたわ。空港着いたから今から向かう』という連絡に返信が無いのを確認してから俺は帝光中までの道を歩き出した。


冬休みのこの時期。部活か補習かで学校に向かう学生の中には目立つ青ワイシャツ白ブレザーの生徒もチラホラ居た。

その中にはカップルもいて、思わず中学時代の自分と自分の恋人を重ねてしまう。





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Aがマネージャーになってから半年以上が経ち
彼女はすっかりマネージャーの仕事に慣れていた。

同時にバスケ部の連中とも仲良くなってきた。
が、それでも懐いてくれているのは俺にだった。

カッコいいだのヒーローだの言ってきて絡まれた時は一瞬だけヤベー奴だと思ったけど、俺ですら否定しそうになった俺の過去を受け入れてくれる事自体は嬉しいものだった。

消したいくらいの黒歴史だけれど、否定したい訳では無いから。



「そういや、あん時に助けた友達も帝光中?」



いつの間にか日常と化した二人での下校。
そこで俺は何気にずっと気になっていた疑問を投げかけた。

Aは困ったような表情で答える。



「えっと、…分かんないです。
あの後ちょっと喧嘩して疎遠になっちゃって」


「あー…」



聞くべきでは無かったかと少しだけ後悔した。
何か他の話題を変えようと頭を捻って、最近一軍入りした新入部員の話を投げ掛けた。



「そういや、灰崎。素行は悪いが強い奴が入ったな」


「そう、ですね。試合になると頼りになります、けど…私はあの人の事は…かなり苦手です」



少し意外だと思った。なんせ俺の事をヒーローとか言う奴だ。
不良カッコいいとか言う類の人間だと思っていた。

だから、…自分の事なので少し恥ずかしさを感じながらからかうように返した。



「えー?…お前の携帯のカメラフォルダのヒーローと同じじゃねぇの?」


「どちらかと言うとヒーローが倒した悪役側って感じがします」


「一緒だと思うけど」


「私的には違うんです!」


「っ」



ガチで返されてちょっと怯む。
…マジで何が違うか全く分からん。


少くとも俺は…灰崎を自分と重ねてしまうくらいには似てると思っていた。

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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月14日 6時

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