検索窓
今日:7 hit、昨日:23 hit、合計:65,666 hit

Gray.67 ページ17

.



小学生にとって中学生と言う存在が既に大人に見えるのに
中学生とは思えないあまりの迫力に何も言えずに居ると

虹村さんは痺れを切らしたのか一度舌打ちをすると
明らかに私を睨みながら喧嘩腰な喋り方で言った。



「なんだテメェ。俺になんか用かよ、あ?」


「え、あ、その…っ」



声が震えていた。私はそれでもゆっくりと事情を話した。
私の話を聞くと虹村先輩の表情は恐ろしい程の怒りを含んでいた。

表情だけではなくそれは声にも出ていた。



「チッ!おい、テメェ!ボサッとしてねぇでさっさと案内しろ!!」


「は、はいぃ!」



友達を助けたいとか以前に、ただただ彼が怖くて、私は怯えながら指定された公園に案内した。



.




指定された公園には公衆トイレがあった。
そこの男子トイレに居ると彼らは言った。



「えっと…男子トイレに居るって言ってた!」



私は友達が心配で走り出そうとした。

けれど、虹村さんに腕を掴まれて動きが止まる。



「アホか!!考え無しに突っ込んでどうすんだ!!」


「ひっ!ご、ごめんなさい!」


「見ろ」


「…?」



虹村先輩が指を指したのはトイレの横に備え付けられた水道。
近くにはホースもある。



「お前、あのホースを水道に繋いで隠れてろ。
んで、俺が合図だしたら女子トイレに向けて水出せ。
蛇口、一番最後まで捻ってな」


「え?…女子トイレ?」


「お友達、助けたきゃ言う事聞いとけ。

…チッ。アイツらも人質なんて狡い真似しねーで
俺に直接喧嘩売りに来いっつの。」


「…あの、虹村さんは、皆に恨まれて、悪い人なの?」



私の言葉に、虹村さんは驚いた表情をすると
次に穏やかな笑みを浮かべながら言った。



「ああ、どうしようもねぇ、悪い人だよ。」


「…」



そう言って彼は「行ってくる」と言うと私の頭に手を乗せて、男子トイレに入っていった。

ホースの準備をしながら先程の穏やかな笑みを思い返す。


……悪い人の表情には、見えなかった。

Gray.68→←Gray.66



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
111人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月14日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。