Gray.61 ページ11
.
ー灰崎side
俺は別段、良い子では無い。
たまの気まぐれ以外で授業に出る気は無いし
部活だってたまにサボる。
まあ、サボる度に連れられるのはまた別の話として。
「お前、普段の学校はサボるのにテストはやるんだな」
テスト期間だかなんだかで部活が出来なくなった為に体育館では無く学校に行ってみれば
門で鉢合わせた石田がそんな事を言ってきた。
今日はテストだったか。面倒くさ、やっぱサボるか。
「その調子で来年は勝ってくれよ。期待してる。」
短くそう言って俺の背を叩くと石田はおそらく同じクラスであろう別の奴と話し始めてしまった。
叩かれた背中が、痛い訳でもないのに熱を帯びる。
「…フン」
何となくテストは受けてやる気になった。
別に高校なんて中退とかになっても後悔は無い。
ただ、まだ福田総合でバスケをやってやっても良いかと思っただけ。
「あ!灰崎くんおはよ!テストには来たんだねー」
後ろから聞こえた声に振り向く。…今度はAだった。
…っつーか、さっきも聞いたわそのセリフ。
「ねー、今日の放課後って予定空いてる?」
「あ?」
平然と隣を歩きながらAは問い掛けた。
俺の返事の前にAは言葉を続ける。
「テスト終わったら三年の引退式やるでしょ?
三年生にそれぞれ何か贈り物をするらしくて
私達は石田先輩に何か贈るんだって
放課後に何か買いに行こうよ」
「あ?何だそれ、知らね…ってか面倒くさ。一人でいけよ」
「…あー…だよねー…。…分かった」
「……」
なんだそれ。『そんな事言わずに一緒に行こうよ!』とでも言われて放課後に無理やりにでも連れ出されると思っていた。
なのに何で普通に納得して俺を通り過ぎて学校に向かって歩いてんだよ。
「…チッ…行きゃ良いんだろ」
その背中に呟くと振り向いた顔は満面の笑顔で
その時に初めてハメられた事に気付いた。
「えへへ、ありがと!」
「…クソが」
その後また俺の横に戻って来ると「石田先輩は何をあげたら喜んでくれるかなー」とかなんとか喋り始めた。
クッッソ、腹立つ。
111人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月14日 6時