【2BRO.】妄想短編詰め合わせ

勘違いと(otsuichi) ページ40

▽【今行くから】続編
(彼女サイド)






バレンタインが近づくと、決まって連絡が来る。
いつ作るの？なんて言われて、馬鹿正直に答えてしまう私の情けなさ。
伝える勇気もない、関係を壊したくない…そう気持ちに蓋をすること早3年。

今年も、好きな人の前で。
好きな人に食べて貰えない本命チョコレートを作るんだ。


「今年は何作るの？」
「チョコタルト」
「わ〜、愛されてる〜」


清々しいくらいの勘違い。
どんな表情で答えたらいいのか分からなくて、いつもなんだか変な表情になってしまう。悲しくて辛くて、でも笑っていなきゃいけなくて。
そしてそんな私の顔を見た彼が、急に真剣な表情に変わるのを直視出来なくて。


「…俺だったら」
「え…？」
「ん？あ、いや、なんでもない！美味しそうだね〜！」
「ふふ、おついちさんがそう言ってくれると自信持てる」



お墨付きね、と笑う彼。
あーあ…、今年も伝えられないまま終わってしまうなきっと。
だってこの関係を壊さなければ、おついちさんはバレンタイン前にうちに来てくれる。
忙しい彼が、彼女でもない私の為に時間を割いてくれる。

贅沢だ。
これ以上望んだらきっとバチが当たる。
喜んで貰えるといいね！そう帰って行くおついちさんを玄関で見送って…私はその場でしゃがみ込んだ。
これも毎年恒例の事。堪えてた涙が溢れてしまう。
いっその事諦められたらいいのに。


「な、んで…っ、こんなに好きなのかなあ…っ」


目が腫れないように、拭うことはしない。
この気持ちと一緒に流れてしまえ。




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