今行くから(otsuichi) ページ38
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「今年は何にするの?」
「チョコタルト」
「愛されてる〜」
毎年毎年、丁寧にラッピングして渡してるであろう本命チョコレート。甘くてきっと少ししょっぱい。
理由は貰っている本人が、全く本命という意識が無いからだろう。
そうまでしてなんで毎年作るの?もう告白しちゃえばって何度も言うけど。いいの、の一点張りで困ったように笑われる。
そんなふうに笑うなら、俺にしとけばいいのにさ。
「なんて言えたらいいのに」
「おついちさんさあ、ばかなの?」
「あん?」
大きすぎるため息と、少し怒った様子の弟者。
なんで弟者が怒るのさ。意味わかんない。
首を傾げれば、少しそっぽを向いて俺が言う事じゃないと思ってたわ、まじ呆れる、とぼそり。
加えて、ここまで鈍感だと思わなかったと睨まれた。
…だから何だよ、こいつは何が言いたい。
「兄者はさ、Aが好きだよ」
「えっ?じゃあ両思いじゃん」
なんだ、当たって砕ける事なんて無かったじゃん。俺が入り込む余地なんて最初から無かったのか。
わー、虚しいねえ俺。
傷心中に漬け込むなんてそれすらも出来ないわけね。あー、そうですかそうですか。
「ちょっと。1人でぐるぐるしてるとこ悪いけど」
「待て、それ以上言うな虚しくなる」
「兄者、チョコなんて1度も貰ったことないよ」
「…は?」
待て待て、んなわけあるか。
じゃああのチョコは毎年どこへ?
あのこが好きな人を思って作ったチョコレートだよ?誰の口にも入ってないの?
「ここまで言ってわかんないの?」
「えっ、何言い出す気?」
「毎年、あなたが家に来るのを待ってるんじゃないの?なんでわかんないの?」
ガツンと、鈍器で殴られたレベルの衝撃。
俺が家に来るから…?
チョコレート作りは口実だったってこと?
じゃあAちゃんは、好きな人の目の前で受け取ってもらえないチョコレートを作ってたわけ?
「…あんな寂しそうな笑顔作らせてたのは俺だったのか」
「兄者は分かってたよ」
「まじかよ。あー…わるい、後でなんか持ってくわ」
「できればいい報告と一緒にお願いするよ」
ばし、と肩を叩いて去っていく弟者。
兄者の所にでも行くんだろう、こっちは任せろと背中が言ってる。俺は、そうだなとりあえず。
今行くから待ってて
(お、ついちさん…?)
(せっかく作ったんだから、捨てないで)
(えっ、何言って…)
(本命チョコ、ちょうだいよ)
今更バレンタイン上げててごめんなさい…
ホワイトデーも書けたらな…
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tokiiiii(プロフ) - くるるさん» ありがとうございます…!!天を仰ぐ…?!えっ、嬉しいです…!最後のお話は書くのに割と難航した記憶があるので、そう言っていただけると安心します。また更新する予定ですので、しばしお待ち下さいね! (2022年1月28日 16時) (レス) id: 1acee39900 (このIDを非表示/違反報告)
くるる(プロフ) - 最後が最高すぎて天を仰ぎました😇ありがとうございます!! (2022年1月26日 22時) (レス) @page18 id: 71ebbc7488 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - tokiiiiiさん» きゅんとするような感じが疲れ吹き飛びます!生み出すのがお上手;)更新楽しみにしてます! (2021年5月31日 19時) (レス) id: d07ed213ea (このIDを非表示/違反報告)
tokiiiii(プロフ) - ちぃさん» ありがとうございます!え!嬉しい!告白は初めてです、嬉しい照れちゃう〜!! (2021年5月31日 7時) (レス) id: 459624764f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 全部いいです。全部好き!好きすぎてtokiさんが好きです!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: d07ed213ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:toki | 作成日時:2019年11月20日 22時