【2BRO.】妄想短編詰め合わせ

良いお年を(anijya) ページ27

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年が、明ける。
新しい時代が始まる。

この年末のワクワク感はいくつになっても好きだ。子供の頃はお年玉握りしめて、弟者とよくゲームを買いに行ったっけな。
もうお年玉を貰うような年齢を過ぎ、長らく弟者とおついちさんと3人で過ごしていた正月だったのに、今となっては隣に彼女がいるのだから、人生分からないものである。


「兄者さん、今年も1年ありがとうございました」
「こちらこそ」


ぺこっとお辞儀する彼女の律儀なこと。
釣られて俺もお辞儀をすれば、弟者くんとおついちさんにもご挨拶しなきゃですねと笑った。たまには電話してみる？とスマホをいじると、途端に慌てる彼女。
しょっちゅう会っているものだから、改まって電話なんて久々だな。なんだか俺まで緊張するじゃないか。


「Hello」
「なあに、兄者どったのー」
「いんや、うちの彼女が年末のご挨拶したいって言うからさ」


スピーカーに切替えると、弟者がおついちさんを呼ぶ声が聞こえる。

「Aちゃーん！」
「聞こえるー？」
「聞こえてるっつの」
「弟者さん、おついちさん、今年も1年ありがとうございました！」
「あはっ、律儀い」


今年も色んなことがあったねえ、なんて話しながら4人で大笑い。なんだこの光景、微笑ましすぎるだろ。ほかの女じゃこうはいかないんだろうな、A だから、2人とも良好な関係が築けてるんだと思う。
いい女だよ本当に、俺には勿体ないくらい。


「来年も、兄者のことよろしくね」
「ふふ、よろしくされました！」
「Aちゃんも、兄者も良いお年をねー！弟者くん、蕎麦茹でるよー」
「あ、兄者ー」

Aからスマホを受け取り、なんだ？と電話越しに聞けば、スピーカー切ってくれる？と一言。
おいおいなんだよ。


｢義姉さんって呼ぶ日が来る？｣
｢……まあ近々な｣


ふは、楽しみ！と電話を切る弟者。
なんのお話だったんですか？と聞く彼女の額に、なんでもねーよとキスを1つ。
来年もいい年になりそうだ。





良いお年を
(お蕎麦食べましょ！)
(おっ、えび天じゃん)
(えへへ、奮発しちゃいました)

(弟者くん攻めたねえ)
(近々だってよ、おついちさん)
(それはすばらしい)



たくさんの方にお読み頂き、ありがとうございました。年内の更新はもしかしたらこれで最後かも分からないです。これからもぽちぽち書いていきますので、来年もよろしくお願いします。
赤青緑ピンクさん、そして読んでくださる皆様が来年も健やかでありますように。

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