確信に近いもの(anijya) ページ3
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今やどこにでもあるコーヒーチェーン。
普段はあまり立ち寄らないのだが、打ち合わせ終わりということもあり、どうしても甘めのコーヒーが恋しい。というか、どうも今は摂取しないと頭が回らない。疲労困憊とはこの事か。
何となく目頭をぐりぐりと指圧しながら、店内を見渡せば、平日夜にしては混んでいて、空いてる席は真ん中の相席テーブルしか無いようだった。
「ハニーラテ1つ」
店員さんから受け取ったラテを片手に、相席テーブルへ腰かける。長いテーブルには、勉強している学生や、パソコンを広げるサラリーマン、そして目の前に読書中のOL。
等間隔に座るありがちな光景。自分も何かするか、とスマホを取り出しながら…ふと、目の前の彼女の手元に目が行った。細くて長い綺麗な指が本をなぞりめくる。
その本のタイトルも、内容も、俺はよく知っていた。
「……えっと、何か?」
「え、あ。すいません、つい」
頭でぐるぐる考えているうちに、ばちっ!と彼女と目が合った。怪訝そうな表情に少し焦る。当たり前だ、いきなり見つめるなんて怪しいに決まってる。とりあえず、俺もその本読んでたんで。と説明しながら頭を下げた。
納得してくれたのか、ほっとしたような表情に変わった彼女に、ゲームするんですか?と聞かれて返答に困ったが、日付が変わるの忘れるくらい没頭しちゃいます、と答えると、くすくすと笑った。
「奇遇ですね、私もです…って、女性がやってるのは意外ですか?」
「いえ、そんなことは。むしろ嬉しいですね、話が合いそうで」
体のいいナンパじゃねえか、と俺は口走った後に気づく。ふふ、と笑う彼女に多少救われたが、少し恥ずかしくなって、ひと口…またひと口とラテを含む。
そうしているうちに、彼女は腕の時計を確認して帰り支度を始めた。
その本に栞を挟み、バックに仕舞うと…改めて目が合う。
「デススト、楽しみですね。それでは、また」
コツコツ、とヒールを響かせ去っていく後ろ姿を見ながら…俺もまだまだ青いのかなと少し冷えたラテを煽った。
また会えると良い。その時は、ゲームの話の前に彼女の名前を聞こう。
確信に近いもの
(奇遇ですね)(あら、この間の)
(相席よろしいですか?)
(もちろん、喜んで)
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狼狽えるお兄さんが書いてみたかった。
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tokiiiii(プロフ) - くるるさん» ありがとうございます…!!天を仰ぐ…?!えっ、嬉しいです…!最後のお話は書くのに割と難航した記憶があるので、そう言っていただけると安心します。また更新する予定ですので、しばしお待ち下さいね! (2022年1月28日 16時) (レス) id: 1acee39900 (このIDを非表示/違反報告)
くるる(プロフ) - 最後が最高すぎて天を仰ぎました😇ありがとうございます!! (2022年1月26日 22時) (レス) @page18 id: 71ebbc7488 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - tokiiiiiさん» きゅんとするような感じが疲れ吹き飛びます!生み出すのがお上手;)更新楽しみにしてます! (2021年5月31日 19時) (レス) id: d07ed213ea (このIDを非表示/違反報告)
tokiiiii(プロフ) - ちぃさん» ありがとうございます!え!嬉しい!告白は初めてです、嬉しい照れちゃう〜!! (2021年5月31日 7時) (レス) id: 459624764f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 全部いいです。全部好き!好きすぎてtokiさんが好きです!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: d07ed213ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:toki | 作成日時:2019年11月20日 22時