【2BRO.】妄想短編詰め合わせ

いただきます(otsuichi) ページ1

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彼女の料理をしている所を見るのが好きだ。
一緒に買いに行ったエプロンを着けて、髪を括って。
手際の良い彼女。リズミカルにまな板を鳴らすと思えば、時たま鍋をかき混ぜて。
テンポよく動く彼女を目で追いながら…今日は豚汁かな？なんて予想を立てる。
小皿で味見をする彼女と目が合えば、おついちさんそんなに見られると穴があいちゃう、と恥ずかしそうに笑われた。

「うそ、そんな見てた？」
「見てた見てた。お腹すいちゃった？」

もうちょっと待ってね、とフライパンを揺すると…こっちまで漂ういい香り。そしてタイミング良くご飯の炊ける音がした。
彼女はごくごく普通のOLで、休みの日の前日は予定を合わせて家に泊まりに来てくれる。合鍵で入る事もあれば、迎えに行くこともある。スーパーで買い出ししてから来てくれたりもするけど、どちらかと言えば俺がカートを押しながら2人で買い出しをする方が好きだったりする。

「今日はライブするの？」
「いーや、今日はしないよ」

たまにはAとゆっくりしたい。
そう見つめながら言えば、ふふっ、と笑ってご飯にしよっか！と火を止めた。
自分でも料理はするし、一人暮らしも中々長いわけで。ある程度のことは1人でやって来たし、困ったことも無い。
でもやっぱり、人に作ってもらった料理は美味い。いやちがうな、Aに作ってもらう料理はなんだって美味い。

「Aがいないとこのランチョンマットも出番がないよ」
「でしょうね、私が片したままになってた」

くすくす笑いながら配膳を手伝う。
向かい合わせで座って、手を合わせて。



いただきます。
(豚汁うんま…)(そう？よかった)
(今日は映画でも観ない？)
(いいね！ホラーにする？)
(……そこは恋愛ドラマにしない？)

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