全力逃走08 ページ10
今日は待ちに待った休日＿＿＿＿
灰谷兄弟から逃げる日々から、束の間の休息をとる。
のんびり家でゴロゴロするのも良いが、やっぱりお出かけするのも楽しい。
だから今日は六本木に来た。
今日の目当ては昔、年の離れた兄に連れられて来た【ヴィーナ〇フォートの噴水広場】だ。
私服でスカートはあまり好んで履かない為、噴水に合うようなレトロなパンツとシャツにニットというスタイル。
『…やっぱここ来ると兄さんを思い出すなぁ』
噴水のふちに軽く腰かけ、綺麗な彫刻を見る。
？「兄さん？A、お兄さんいるの？」
『あ、うん。だいぶ前に死 んじゃってるけど』
ん？私今誰に返事したんだろうか…。
ちらっと視線をずらして声のした方を向く。
？「やっほー、A！休日も蘭ちゃんに会えるなんてAはラッキーだね♡」
そこには私服姿で三つ編みの髪を下ろした灰谷蘭が居た。
あ、今私、灰谷蘭に兄さんのこと話してしまった。
『別にラッキーじゃないっ！人のいる所だから走って逃げはしないけど、私の癒しの時間盗らないで…、！！』
蘭「ねぇ、お兄さんの話聞かせてよ」
『なんでだよ、絶対嫌』
蘭「お願い」
'Aのこと知りたい＿＿＿＿＿＿＿'
いつになく真面目な顔して、まっすぐ私の目を見て声を発する灰谷蘭。
『…また今度ね、今はここに癒されに来てるから』
今は話す気にはどうしてもなれないけど、その真面目な顔に免じてそのうちね。
蘭「わかった、約束ね。絶対」
そう言い、出された小指に私は軽く戸惑う。
蘭「ほらはやく、指切りしよ」
『ん、はい』
約束ね、なんて言いながら私の目線に合わせて屈む灰谷蘭。
灰谷蘭の無駄に艶っぽい唇に目を奪われながらも、私はなんでそんなに知りたがるのか疑問に思う。
まだ絡んでいる私たちの小指。
すぐ側で聞こえる噴水の水音。
視界の端でスローモーションに見える、行き交う人々。
薄暗い、けど怖くない照明。
『…なんだか夢見心地』
次の瞬間、トンっと絡む小指ごと灰谷蘭の胸に引かれ思わず顔があたった。
蘭「今日、逃げないでくれてありがとう。
少し抱き締めさせて、それ以上のことはしないから」
『うん、いいよ』
そう言って灰谷蘭の背に腕を回してしまう私。
こんな事するのもきっとこの広場と兄さんのせいだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 354人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ＮＥＮＥ - ファイト (2月20日 9時) (
レス) @page19 id: b4deef9c69 (このIDを非表示/違反報告)
レミー - 更新ゆっくりでいいから頑張ってくださいね！ (2021年12月3日 6時) (レス) id: d3abc06234 (このIDを非表示/違反報告)
華音 - 更新頑張ってください！！応援してます！ (2021年9月4日 20時) (レス) id: 5550d7f254 (このIDを非表示/違反報告)
優夛ﾕﾀ(プロフ) - なるさん» コメントありがとうございます！ぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年9月2日 23時) (レス) id: b0cbcacbf6 (このIDを非表示/違反報告)
なる - 私、インスタやってないので引き続きコメント欄にてコメントさせて頂きます！明日からの更新楽しみに待ってます！ (2021年9月2日 23時) (レス) id: ec50fd9b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優夛ﾕﾀ | 作成日時：2021年8月13日 22時
