第4章 エピソード8 ページ9
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…！
やはり、その話は本当のようだ。
父上と皇帝陛下がそういう話をしていたのは分かってはいた。
「それはなりません。」
「…ほう。何故だ？」
「まず、それはリゼ…いえ、皇女殿下が望んでいる事ですか？彼女が望んでいるのなら、それは僕も受けましょう。けれど、今の彼女が僕を受け入れるとは到底思えません。」
「そうだな、今の皇女殿下には無理だ。だが、この婚約を果たせるようになれば、私や皇帝陛下が安心すること間違いないのだ。何せ、ウィンドル王国とルア帝国は統合することになるのだから。」
……！！統合だって！？
こんな大きな国同士の統合など、聞いたことがない。
…だが、そうか。
リゼは女性だ。
帝国では歴史上、皇帝を女性がなることを決めていないためだ。
噂では聞いていた。
帝国の後継者がいないと、統治する者がいなくなる。
それはつまり、2000年という国の歴史が消えてしまうということだ。
「…統合して、僕が皇帝となるということですか？」
「ああ。そういう事だ。」
「皇后は…皇女殿下に任せ、皇帝の仕事をやったこともない僕に任せてもよろしいのですか？」
「そこは心配していない。リチャード、お前は王族として育ってきた身でもあり、学院でもトップクラスの成績を誇っている。そして、一学期末のテストにて、首席として入学した皇女殿下。その二人に任せれば、とても良い国が築けると思っている。」
…父上はそう言っているが、それはあくまで理想論だ。
僕とリゼの関係が改善されない限り、このままだと帝国は破滅への道を辿ることになる。
僕一人にそう言っても、重荷になるだけだというのに。
ビアンカ、彼女がいれば少しはリゼも元気になるだろうか。
……！！
そうだ…彼女を救える方法は祈りの歌のみだ。
だが噂によれば、救う方法があったとしても、世界樹が危険な場所とされていて上手く救うことが出来ないとされている。
彼女を僕が護衛し、彼女がビアンカに祈りの歌を歌って救うことが出来れば、少しは彼女も元気になるに違いない。
「…頼んだぞ。」
そう言って父上は去っていった。
早速、明日リゼが来たら、護衛騎士が周りにいる中でこの話をしてみよう。
なるべく、怖がらせないように。
「…ビアンカを？」
突然話しかけにきて、また身体が震えると思ったら…彼も同じことを考えていたらしい。
ビアンカを救いたいという気持ちは本当のようだし。
……私も幸いなことに、怖いとは思うけれど昨日のようにはならなかった。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
