第4章 エピソード5 ページ6
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私とリリィは急いで馬車で皇宮へ向かう。
馬車に向かう途中、私はリリィに揉め事の理由を聞いてみた。
「…今、大神官様の他にも、記憶の子のお二人方が来ているらしくて、一人はリリアン・ルベルク様。もう一人は、ディラン・ルベルク様。記憶の子歴史上、唯一姉弟で二人いる家系の方なの。」
「……！！ビアンカと同じ、記憶の子がいるの？しかも、その二人って…。」
「ええ、ビアンカと仲が悪かったと噂されていると聞いているわ。」
「二人は確か…私と出会う入学前に更にいざこざがあったって聞いているけど…詳しいことは聞いていない。その前に、ビアンカは眠りについてしまったから。」
…私を呼べと言っているのも、もしかして永遠の眠りのことについてかな。
…ビアンカ、私は貴方をどうやって助ければいいの？
祈りの歌で助けられるとはされているけれど、世界樹はとても危険な場所。
ましてや、皇女の私が行ってはもしもの時が危ない。
だから行くに行けなかったし、周りに行くのを止められる。
「…今、記憶の子二人と大神官様で、皇帝陛下と話してるみたいなんだけど…。その内容が…。」
「…私に関係することなの？」
私がそう質問すると、リリィは頷いた。
私と記憶の子…。
ビアンカ以外に記憶の子と仲良くしてないけれど…。
しかも、そのルベルク家の二人は、ビアンカによく相談されていた問題の二人だし。
「…神に選ばれし子についてみたいなの。」
「…！！それって…。」
「…それも、あの神話に出てくる、影の女神に選ばれし子がリゼであると主張してるらしくて。それを信じたくない皇帝陛下と、大神官様…記憶の子二人で揉め事になってるらしいの。」
……影の女神に選ばれし子って言った？
あの神話とは、影の女神と陽の女神、そして陽影の神の話。
陽影の神ルアールに捨てられた、影の女神アメリアが陽の女神であるメルーナに強い憎悪を抱いていた。
それを気に入らなかったルアールは、影の女神に選ばれし子である子を、同じく陽の女神に選ばれし子の脇役として…最悪、死を迎えるという呪いをかける話。
そのルアールに選ばれし子と、陽の女神に選ばれし子が一生幸せに暮らしていくそんな神話だ。
神話自体、人間が作ったと言われているが…。
その影の女神に選ばれし子が私…？
いきなりすぎて訳が分からない。
しかも、その陽の女神に選ばれし子には思い当たりのある人物がいる。
…まさか、メイリが選ばれし子？
…まだその神話が真実か分からないのに、こんなにも怖いだなんて。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
