第7章 エピソード14 ページ48
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…！！
痛いと言う前に、メイリが今まで見た事のないような表情で私に怒っていた。
「…リゼがそんな風にリチャードを傷つけるようなことをしてどうするのよ！いつもリチャードのことを想っていたリゼはどこに行ったの？」
「…メイリには分からないよ。」
「確かに分からないよ。私は愛を信じることの素晴らしさが分かるから。」
(愛を信じることの素晴らしさ…？)
「捨てられた側の私になんて分かると思う…？」
「…！リゼ…。」
「二度も捨てられて、私を再び愛してくれた人を好きになるなんて、私には怖くて出来ない！それも、私の命がかかってしまうなら尚更…！もう二度と…愛を信じることの愚かさで、死 んでしまうなんてことしたくないの…。」
そう、私がどれだけリチャードを想っていたとしても、私の命を引き換えになるような事…したくない。
すると、メイリは「ごめんね」と言って私を優しく抱きしめた。
(…！！)
「…その本音が答えだったんだよね？本当にごめんね、私はただ…リゼの本当の答えを知りたくてこんなこと言ってしまったの。」
「…メイリ。」
「…ねぇ、リゼ。リチャードのこと、本当はどう思ってるの？」
「私は、リチャードのことが好き…。こんな思いが何を意味するのか、本当はとっくに分かってた。けど、私は 死 にたくなかったの。私を愛してくれると言われて、本当は嬉しかった。」
「…うん、ならリチャードにそれを伝えてきなよ。」
「…えっ？」
突然そんなことを言ったメイリに対して、私は何を言ってるのか理解出来なかった。
メイリは…何を考えているの？
「…メイリ、どういうことだ？だって、リゼは…。」
「うん、確かに普通に考えたら、リゼが告白なんてしたら祈願の歌人になってしまう。」
「あっ…！」
「どうしたの、コレット。」
「私ね、一度だけこんな話を習ったことがあるの。これは多分、みんなも知ってると思う。」
？マークを浮かべる私と逆に、ミクリオも何かに思い出したらしく「そういうことか！」と納得していた。
(みんなが知っていて、授業で習ったことあること？)
しばらく考え込んでいると、私も一つあることを思い出した。
「…分かった？」
「影の女神と陽の女神の神話に出てくる、あの話？」
「そう、『影の女神に選ばれし子、陽影の神に選ばれし子とは別の者と永遠の愛を誓う時、その愛は一生を残すことになる…。』」
「…っ！」
「…行ってきな、リゼ！」
そう言って私の背中を後押ししたメイリ達。
私は急いでリチャードの元へと急いだ。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
