廃妃された皇女様 2nd season (ページ40)

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第7章エピソード6 ページ40

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「お願いです…！私、リゼを助けたいんです！」

私がそう言うと、ディラン様とリリアン様が少し迷いながらも、フッと微笑んだ。

(あれ…？こんな表情する人だったかな…。)

「貴方ならそう言うと思ったわ。けど、貴方より身体が弱くない私たちでも、記憶を読むのはとても負荷がかかるの。貴方が皇女殿下にしたメモリアルのようにね。」
「それは…そうですね。」
「何千年前の記憶を遡るとしても、負荷がかかるということは他の記憶の子に仕事を任せること。アンタがメモリアルを起こして眠りについてる間、俺たちがアンタの仕事を任せられてたんだ。記憶の子にも、記憶を読む以外にやるべき事があるからな。」
「ごめんなさい…。」

リリアン様がディラン様に『きつく言いすぎよ』と言って、次に私の手を握った。

…リリアン様が私に触れたの、初めてだったような気がする。

「貴方が皇女殿下を救いたい気持ちは私たちも分かる。ここにいる大神官様お2人も、神子様お2人も、ここにいるSSクラスの皆さんも。貴方と同じように、皇女殿下を救いたいの。けど、貴方は一人で何でもしようとする癖があるから…。たまには私たちを頼ってください。」
「ですが…リリアン様やディラン様は、私の事をお嫌いなのかと思いました。」

と正直に言ってしまった。

すると、リリアン様とディラン様は驚きながらも、首を横に振った。

「それは…少し違う。私たちが貴方を避けてたのは事実よ。貴方は平民出身でしょう？前までは平民と馴れ合ってはいけないと教えられて、私も…ディランもそれが正しいと思ってた。けどね、人を想う気持ちに平民とか貴族とか関係ないと知ったの。貴方と、皇女殿下を見てそう実感した。人を想う気持ちに、貴族とか平民とか関係ないのなら…私たちが避ける必要もなくなったのよ。…ごめんなさい、私が馬鹿だったわ。」
「アンタを避けてきたのは、本当に申し訳なく思ってる。すまなかった。」

(お互いすれ違ってたのには、やっぱり訳があったんだ。)

記憶の子である私たちは、お互いが貴族だとか平民だとかそんなちっぽけな理由で避けてきた。

私のリゼにしてきた事は間違いじゃなかったんだと思うと、私は涙が出てきそうになった。

私たちがそう話していると、皇宮内が慌ただしいことに気づいた。

「この騒ぎ…なんだろう？」

私たちが部屋の外に出てみると、騒ぎの原因が分かることになった。

「皇宮の湖に”黒髪の少年”が現れたぞ！」
「皇女殿下に連絡しろ！！」

これは彼女に襲いかかる運命の歯車が動いた時だった。