第7章 エピソード1 ページ35
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重いまぶたを開けると、そこには見覚えのある光景が並んでいた。
…あれ？私、パーティー会場にいたはずじゃ…。
ふと周りを見ると、リチャードが私の手を握ってベッドの隅で眠っていた。
(……リチャード。そうだった、私はあの時毒を盛られていた。)
あの感覚、いつまでも忘れない。
苦しくて痛くて、お腹が引き ちぎれそうだった。
「リゼ…行かないでくれ。」
リチャードが寝言でそう言うと、私の手をギュッと握るのが強くなった。
(…彼も、変わってきている。リチャードが私を好きでいてくれるのは、ここから伝わってくる。…けれど、私はもう人を愛することなど。)
「ん…。…！！リゼ！」
リチャードが眠りから覚めると、私をギュッと抱きしめた。
いきなりの事で私はパニックになった。
「リ、リチャード…。あの…苦しい…。」
「あっ、すまない。…よかった、本当に。皇帝陛下があんなことになって、リゼまで目が覚めなかったら…僕は。」
「…！？お父様に何かあったの？」
「…いいかい、落ち着いて聞くんだ。皇帝陛下は、今倒れて様態が悪い様子なんだ。大神官であるティアラ様とリアン様に様子を見てもらっているが、回復する見込みがあるか分からないそうなんだ。」
「…！お父様が…私のせいだ。」
私が無理ばかりして、お父様に皇帝の仕事を任せっきりにして、私が無理してるのに気づいてれば…！
私が眠っている時だって、お父様が処理してくれてたんだ…。
私の…せいだ。
私のせいでお父様が死 んじゃうかもしれない！
私のせいで！！
「あぁ…私のせいで。」
「落ち着いてくれ、リゼ！君のせいじゃない。」
「でも…私があの時毒に気づいてれば！あの時だけじゃない…。お父様の様子に気づいてたのに、私が気配らなかったら。」
「違う！僕でもあんなふうになるなんて思わなかった！だから、君のせいじゃない。」
「…私のせいで、こうなるんだったら私がお父様のために死 んじゃえば良かったのに！バカ…自分のバカ…。」
「リゼ！」
私が取り乱していると、リチャードがいきなり口にキスをしてきた。
(…！！)
やめてと言いたかった。
けれど、今の私は何も言うことができなかった。
「な、何をしたの…。」
「こうでもしないと落ち着かないだろう。…リゼ、君のせいじゃない。誰がリゼに 死 んで欲しいと言った！誰も言ってないだろう。毒を盛られるなんてこと、誰も予想できない。皇帝陛下だって、リゼを1番心配してたんだ。だから、そんな死 ぬなんて言葉簡単に言わないでくれ。」
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
