第6章 エピソード4 ページ27
*****
「その事件はおそらく、人操縦石が関連しているかもしれません。」
…っ！！
あの事件以来、人操縦石の取り締まりが更に厳しくなったというのに…！
誰がそんなことをしているの…！
私が肩を震わせていると、リチャードが私の肩に手を乗せてくれた。
視線が合うと、リチャードは微笑んで「きっと大丈夫だよ」と言った。
「続けて説明してください。」
「皆さんに改めてお聞きしたいのですが、あの時何かおかしな点は無かったですか？」
「それなら…何故か私たちの話を全く聞かず、ただひたすら僕たちに剣を向けていました。」
「…やはりそうだったか。」
ディラン様がそう言って、深いため息をついた。
…まさか、あの時と同じように、誰かが貴族生徒達を操っていたということ？
あの事件があってから、あの貴族生徒達は謹慎命令を出されていて、今は普通に通っていた。
「…誰かが歌人様たちを狙っています。それも、歌人様だけを狙っているのではなく、皆さんを狙っています。」
「…！？」
「それで、俺様が来た理由だが、祈りの歌人…ハニーに用があったんだ。」
……私に？
神子であるゼロス様に何か用があるほど、私達はあまり関わっていなかったのに。
「…ハニー、貴方は地球という星があることをご存知ですね？」
「…どうしてそれを？」
「主神であるルアール様から新たなお告げがきた。それも、大神官5人以外に主神の声を聞くことができる、俺様とコレットちゃんにな。コレットちゃんには黙ってもらっていたんだがな。」
普段お告げがくる時は、大神官にしか声が聞こえない。
だが、急を要する時、神子である2人にもお告げの声が聞こえるのだが。
私に関連して急を要することなんて、もう予想がついている。
「…影の女神については、みんな知っているか？」
「あ、はい。確か、アメリア様がメルーナ様に嫉妬したとか何とかの話ですよね？」
「ああ、そうだ。それで、ハニーには前話したと聞いたが、影の女神に選ばれし子であるハニーと、聖女であるメイリちゃんが陽の女神の選ばれし子であることは聞いたか？」
そう言うと、メイリが驚いた顔で私を見た。
「私が生きていると…リゼに生贄になってもらっているということ？」
メイリはもう涙目になっている。
前に私が影の女神について話した時には、こんなことになるとは思わなかっただろう。
「私のせいで…リゼが…。そっか…。だから私、こんなにも辛かったんだ。友達になれたと思ったら、いきなりこうだもんね。笑っちゃうよ…。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
