第5章 エピソード6 ページ18
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リオンとルーティと話していると、私は紫色の髪と瞳をした令嬢を見つけた。
…あの子、見ない顔だけれど…。
紫色の髪と瞳って、珍しい…。
確か、カナーレ王国の辺境に、そういう容姿をしていた種族がいるって聞いたことある。
「ねぇ、あの子は？」
「あぁ…アイツは歌人の一人で、今度フィーゼル学院のSSクラスで転校してくるオーロラというやつだ。何でも、父上の秘書の娘らしくてな。平民出身だが、礼儀があって品もある。前世は貴族令嬢なんじゃないかってくらい、平民と思えない言葉遣いもする。」
「このSSクラスでは3人目の歌人の登場ね。ティアにリゼに…あの子まで。それに、あの子の母親…父上の秘書と言えばいいかしら。その母親はカナーレ王国の宰相、ローゼント公爵の再婚相手らしいわね。」
「平民が…公爵夫人に成り上がるなんて…。あまり聞かない現象だけれど…。」
そう、平民出身が公爵夫人になることは、今までに一度も聞いたことがない。
伯爵や子爵なら聞いたことはあるが、王国の王太子妃を輩出する公爵の位の夫人になれるなど滅多にないことなのだ。
それに、このルア帝国に限らず、このルアールという世界は平民出身の貴族令嬢に当たりが強い。
けれど、オーロラ嬢はその当たりを受けてないように感じる。
3年半前の私と違って、みんな仲良さそう。
3年半前の私は、リチャードの幼馴染みという関係を盾にいじめられはしなかったが、Aクラスの令嬢からはずっと嫌がらせを受けていた。
私の前世の記憶があったままなら、少しは変わっていたのかな。
そして、パーティーが終わる頃アルが私の元へやってきた。
…何を喋ればいいんだろう。
「リゼ、行こう。」
「うん…。」
「お待ちください！」
と、私たちが手を取ろうとした瞬間、先程話題に上がったオーロラ嬢が私たちの前に現れた。
…？何か用なのかな。
「お初にお目にかかります。オーロラ・ローゼントです。その…カナーレ王国第一王子、アルバート・カナーレ様に一つ尋ねたいことがありまして。」
「…？どうしたんだい？」
「私のこと…覚えていますか？私は…ルア帝国の第一騎士団騎士団長のエリスです。エリス・スヴェンダー…。ノア様…私のことを覚えていますか…？」
……！！オーロラ嬢も、あの事件に巻き込まれた…。いや、エリス様はノア・スヴェンダーの正妻。
こんな所でお会いするなんて…！
エリス様とは、私も何度も話をしたことがある。
今となっては、レオの父君であるヴァレッタ公爵にその座を奪われているが、元々はスヴェンダー公爵のものだった。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
