第5章 エピソード4 ページ16
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そして、アルは次の瞬間とんでもない事を言い出した。
「リゼ、僕は君が好きだよ。」
「えっ？」
「君の全てが好き。見た目も性格も、仕草も…そして綺麗な心を持ってる事も知ってる。」
「…！！アル…。」
アルがこんなことを考えてたなんて…！
だからアルはリチャードの名前を出したんだ…。
でも、なんで今なの？
もうすぐビアンカの救出作戦が始まる日だというのに。
アルはそれを知ってて言ってる。
「ごめん、今言うタイミングじゃないのは知ってるよ。けど、この3年半ずっと君を見てきた。リチャードのことを恨んでいたことだって、誰よりも知って話を聞いていた。けれどそれが無くなってしまった今、僕の生きる理由が失くなったんだ。」
「生きる…理由。」
「そう、君こそが僕のすべてだった。君が孤独な瞳をしていたから、僕と同じく愛されない者同士、君の孤独を埋められる存在になりたかった。けれど、それも不可能になってしまった。分かってたんだ、君が愛を信じないと言っても結局は殿下のことを…！」
「アル…話を聞いて！私はリチャードのことをそんな風には見てな…。」
「そんな事ない！！君が殿下のことを見る時の目は、間違いなく愛を求める瞳だった！前世で愛されていた僕は、今では独りぼっちなんだ。家族から冷え切った目で見られていたのに、SSクラスに入った瞬間態度が変わった。そんな偽りの愛なんていらないんだ！！」
っ……！！
何も言い返せなかった。
アルは元Gクラスの人間で、しかも成績と魔力と共に最下位だった。
それは3年半前、本校で私が受けていた孤独と似ているようで似ていなかった。
その時の私には、愛する事を知っていて愛を信じていたから。
アルは違っていた。
愛する人も居なければ、分校に行っても酷い扱いをされて友達と呼べる友達もあまりいなかった。
リエッタ達も同じような扱いをされてきた。
でも、リエッタ達がアルに手を差し伸べなかったのは、自分とその人とは格が違うということを信じたかったから。
人間は人を下に見ることが好きだからだ。
だからアルは、リエッタ達と話をしていても仲良くしようとはしなかったんだ。
「アル…。」
「…ははは。僕は本当に馬鹿だ。振られるとわかっていて、気持ちを伝えるなんて。前世の家族に会いたい…。ルーカスお父様に会いたいのに、あなたはもうこの世に居ない。」
「ごめん…なさい。アル…貴方がこんなにも辛いのに、何も言えない。孤独を埋められるような存在になれなくて、ごめんなさい…。」
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
