第5章 エピソード2 ページ14
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アルは前世で帝国一の秀才とまで言われていた。
奢侈税と呼ばれる制度を作った者として名を上げた。
アルの前世の名前は、ノア・スヴェンダー。
ノア・スヴェンダーは、不運な男とも呼ばれていた。
彼の出身地は分からず、奴 隷として扱われた。
そして、その彼を拾ったのが2代遡った宰相…ルーカス・オベリオンだった。
ルーカス様は下級貴族の出身だったが、その頭のキレは異常でノアに次ぐ頭の鋭さだったとか。
ルーカス様は、ノアを養子として迎え入れ、次期宰相として英才教育を受けさせた。
それが始まりであった。
帝国で1、2を争うほど凶悪なテロに巻き込まれてしまったのは。
ノアは家に慣れてきて、実子であるルナを越えて人気者になった。
ルナはノアを心底憎んだ。
実子であったルナが、養子であるノアばかり愛されて邪険に扱われた。
ノアが宰相になり始めて5年。
私がアステリアとして亡くなってから早3年が経ったところ、ルナを率いるテロ組織スヴェンダー…まさにノアの親と名乗る者やそれに関連する者達が”ルア帝国スヴェンダー爆破テロ”を起こした。
それに巻き込まれたのは、ノア達だけでなくお父様であるシェイド・オルコットやレオ達の前世。
その爆破テロを起こしたテロ組織スヴェンダーは、帝国の第7騎士団達によって射 殺された。
後に分かった事だが、ノアの親と名乗る者は本当にその親だったらしい。
「…アルバートが気になるのか。」
「え？うん、アルはいつも強いけどたまに無茶をするから。」
「…そうか。リゼは、アルバートを本当に想っているんだな。」
「…え？確かに、アルは好きだけれど…そういう恋愛対象としては見たことないよ。」
「…そう、なのか？」
「うん。私が本気で恋をしていたのは2回だけだもの。」
「あっ…。」
「あ、ごめんね。戸惑わせるつもりは無かったの。それに、二回も振られちゃったから、しばらくは恋をしなくていいかなって思ってる。私って本当に…馬鹿だったね。叶いもしない恋を永遠とするつもりだったんだから。」
すると、リチャードが私を抱きしめた。
…！！
やめて、これ以上私に優しくしないで。
もう、私はあなたを好きにならないと決めたんだから。
「リゼ、僕は君をそんなに辛くさせといて、僕はこの3年半こんなにも幸せを感じていた。どうしてだろう、君を見ていると…過去の自分と重なって見ていられなくなる。辛かっただろう、苦しかっただろう。けれど、もう大丈夫だ。君を恐れていた人は、もうここにはいないのだから。」
その言葉に私は涙を流した。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
