好き、嫌い、やっぱり大好き。1-① (ページ9)

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第9話：夢主ページ9

「と、みおかさんっ、着きっ、ましたか？流水屋敷っ。」

私は立ち止まり、肩で息をしながらさっきと同じ質問を繰り返す。

「もうすぐだが。なんだ、疲れたのか。」

「いや、まだです！」

冨岡さんは、走りながら私に話しかける。止まって答える私と距離ができる。

私は無理やり息を整え、意地で冨岡さんに追いついた。

「ゆめ、着いたぞ。」

ようやく3㎞走り終え、轟木先生の流水屋敷に着いた。

「初めまして、こんにちは。失礼します。」

流水屋敷の扉をノックすると、中から若い男の人が出てきた。

「こんにちは。轟木です。」

「暁(あかつき)ゆめです。よろしくお願いします。」

「お前には早速ここに住んでもらう。他にも先生の教え子がいるから、仲良くするように。」

「はい、わかりました。」

轟木先生に返事をすると私は、冨岡さんの方に向き直り、お礼を言った。

「冨岡さん、ここまでつれてきてくれて、ありがとうございました。私、冨岡さんのような剣士になれるようにがんばります！」

「ああ。」

一言だけいうと、冨岡さんは一瞬で消えた。さっきは私のペースに合わせてくれていたのか。

無口であまり人と関わりたがらない冨岡さんだけど、優しい一面もあるんだな、と嬉しくなった。