空間の時間 ページ39
「さて皆さん、晴れて全員E組を抜ける資格を得たわけですが…この山から出たい人はまだいますか？」
殺せんせーが私達に向かってそう問う
答えはもちろん決まっている
「いないに決まってんだろ！」
「二本目の刃はちゃんと持てたし、こっからが本番でしょ！」
「こんなに殺しやすい環境は、他に無いしね！」
殺せんせーは嬉しそうに顔を緩ませた
「ヌルフフフ、茨の道を歩みますねぇ。では、今回の褒美に先生の弱点を教えてさしあげ＿＿」
その瞬間、大きな何かが校舎に突っ込んだような音がして、校舎が揺れる
何事かと外を見ればそこにはショベルカーと理事長の姿が
それを困惑した表情で見つめる生徒
「校舎がっ！」
「退出の準備をしてください。」
「「「理事長！」」」
「今朝の理事会で決定しました。この旧校舎は今日をもって取り壊します。君達には来年開校する系列学校の新校舎に移ってもらい、卒業まで校舎の性能試験に協力してもらいます。」
「し、新校舎ァ？！」
理事長の言葉に動揺が広がっていく
だが、そんなことはお構いなしに理事長は話を続けていく
「監視システムや脱出防止システムなど、刑務所を参考により洗練された牢獄のような環境で勉強できる。新しいE組。私の教育理論の完成形です。」
「今更移れって…」
「嫌だよ！この校舎で卒業してぇ！」
「…どこまでも、自分の教育を貫くつもりですね。」
「ああ、勘違いなさらずに。」
異常なまでに自身の教育の完成形を目指す理事長に顔を顰めて殺せんせーが言う
そんな殺せんせーを見て理事長はある一枚の紙を取り出した
「私の教育にもう貴方は用済みだ。今ここで私が貴方を殺します。」
その紙には”解雇通知”と書かれていた
「こ、殺せんせーの解雇通知？！」
「とうとう、禁断の伝家の宝刀抜きやがった」
【殺せんせーの弱点㉛：リストラ】
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作者名：夜爪 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月1日 15時
