君の目線の先には【西谷夕】

♯１８ ページ19

「最悪だぁ…」


ひとりで勝手に泣いて勝手に体育館から出てきてしまった




朝練あるから戻らないといけない


頭では分かってるのになかなか足は体育館の方に向いてくれない



月島の『迷惑』っていう言葉が頭から離れない





でもいつまでもこんなんじゃダメだ
それこそみんなに迷惑がかかる




忘れよう

西谷への想いも、月島の告白も、振られたことも

───────全部。



なかったことにするんだ
それじゃ、自分も傷つかずに済む





そしたらきっと笑えるよね
部活のことだけ考えられるはずだよね



「よし、がんばろ…月「片山先輩！！！」」






「え、月島？？」




「さっきはごめんなさい」



私の目の前には怒らせてしまったはずの人

月島の目を見るのが怖くて、謝ったまま顔が上げられない



月「謝らないでください、僕、本当はあんなこと言いたかったわけじゃないんです」



「え？」




月「僕はただ先輩には頼ってほしかった…






だから僕にはたくさん迷惑かけてください。僕の前では思いっきり泣いてください。思ったこと全部言ってください。」





「…！」




びっくりして顔を上げると
今まで見たことがないくらいの優しい表情が目の前にあって




月「僕は片山先輩が好きなんです」





「なんで…？｣



なんでこんなに想ってくれるの？




月「さー？そんなの僕も聞きたいです」





「私は自分のために、自分を守るために月島の告白は忘れよう、って最低なこと思ってたんだよ？」




私、こんなに想ってくれる月島の告白をなかったことにしようとしてたんだよ？？




月「それなら何度でも告白します」




「…っ！そんなの月島らしくないよ」



涙が溢れる
こんな私を想ってくれる人がいて、認めてくれる人がいて



月「西谷さんの代わりになれるなんて思ってない。 でももう一度言います。僕を利用していいから…




付き合ってください」



「私は…」




私だけを想ってくれる人を大事にしたい




「ちゃんと月島を好きになりたい。好きになれるように努力したい」




この人の優しさにすがるのは卑怯なのかもしれない

でも差し伸べてくれている手を無視するなんか今の私にはできない



「私でよければお願いします」




月「僕しか見れないようにしてあげますよ」




この時の月島はすごくかっこよかった

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