君の目線の先には【西谷夕】

♯１７ ページ18

月島side


体育館から出ていってしまった片山先輩を見つめながら僕は呆然と考えていた


今何が起きた？

僕が片山先輩を泣かしたのか？

……僕は、何を言った？


『そんな無理に笑われても気遣うしはっきり言って迷惑です』


違う、迷惑だなんて思ってない
僕が言いたかったのはそんなことじゃない



ただ、

無理して笑う片山先輩なんか見たくなかった。

西谷さんを想って泣く先輩なんか見なくかった。

心の底から笑ってる顔が見たかった。


だから、





───────だから、

『僕の前では無理して笑わなくても大丈夫です』って


『僕には本音言っても大丈夫ですよ』って


そう言いたかっただけなんだ

それを言うためだけに今日は朝早く学校に来たのに



片山先輩に会うと、明らかに泣いた顔をしているのに僕に何も相談してくれないことにイラついて


片山先輩を泣かせる西谷さんにイラついて、でも、羨ましくて


そんな感情が入り交じった結果、言いたいことが素直に言えず、片山先輩にキツい言葉で当たってしまった




.




ただでさえイラついているのに目の前には


───────僕を見る西谷さん



月｢なんですか？｣



西｢いや…｣



西谷さんは何か言いかけたが口を閉じた
片山先輩が泣いているのに気づいたのだろうか


今体育館にいるのは2人
聞いてみるチャンスかもしれない


月｢西谷さんにひとつ聞きたいことがあるんですけど｣



西｢なんだ？｣


月｢西谷さんにとって…



西｢ん？｣



西谷さんにとって、片山先輩ってどんな存在ですか？｣



西｢え、A？なんで急に…｣



月｢………

(なんでって僕は片山先輩が好きで、でもその先輩はあなたが好きだからですよ)｣



僕が何も答えないと悟ったのか、西谷さんがもう一度口を開く



西｢アイツは、Aは…




大切な友達だ。｣



月｢そうですか、それならよかったです。


西｢何が？｣


僕、片山先輩のことが好きです。西谷先輩が何とも思ってないなら片山先輩は僕が貰います｣






───────あなたが片山先輩を大切にできないなら僕が片山先輩を貰う

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