安全な本拠地 ページ7
無事何かと遭遇する事もなく、目的地である体育館へとたどり着く。ドアプレートには『第一体育館』との表記がなされている。
扉は烏野とは違って押し開ければいいらしい。鉄製の扉に手を当て、ぐっと力を込めた。
ギイ、と響いた音に、奥の方にいた数名の男子が振り返る。見覚えのあるジャージを着たやつが多いが、数名、赤や隣の及川と同じジャージを着た者が紛れている。
「あ、A!無事だったんだな!!」
真っ先に駆け寄ってきたのは日向だった。先日飛びつかれたことを思い出して、少しだけ身構えたが、彼は私の前で足を止めた。
「と、大王様!?」
「ついでみたいに言わないでよ」
騒がしいのが嫌なのか、また眉間にしわを寄せた。奥から青葉城西の男子が寄ってくる。
「及川さんもいたんすね」
「金田一、と奥のは国見ちゃん?」
「あー、そうっす」
彼は私にちら、と目を向ける。それに気づいた及川さんは、
「あー、この子はAちゃん。烏野のバレー部に最近入ったらしい。で、Aちゃん、こっちは金田一。で、向こうでぼーっとしてる白ジャージが国見ちゃん。同い年だし仲良くしてあげてね」
「……どうも」
彼の挨拶に、私は会釈で返した。
「にしても金田一たちが居たとはねー、主将くんそんなこと言ってなかったのに」
皆がいる方へと歩いて行く途中で、ふと及川さんはそんなことをぼやいた。
「あー、俺たちもさっき来たから、知らなかったんじゃないんすかね」
「誰かに会ったのか?」
「いや、そうじゃあない」
どうやら、金田一と国見は一つ上の階にあった『生物実験室』に居たらしい。教室を出たところ、廊下に体育館が見える窓があり、そこで日向たちを見つけ、下りてきたのだという。
「おっ、Aちゃん!」
「菅原先輩」
ひらひらと手を振る見慣れた姿に、少し安心を覚えて近寄った。及川さんは「げ、爽やか君」と呟いて、金田一を連れて国見の方へと向かった。
「大丈夫?ケガない?」
「はい、大丈夫です」
そっか、と柔らかな笑みを浮かべ、床をとんとんと叩き、腰を下ろすように進める。日向と私は促されるままに、彼の前に座った。
「そういや、Aちゃんはもう、何か不気味な奴は見た?」
「はい、二体見ました。一体には追っかけられましたけど」
「それは災難……ま、ここは安全っぽいからしっかり休めよー」
どうして、と首を傾げると、その旨が書かれた紙が体育館の扉に貼ってあったのだと教えてくれた。
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reia(プロフ) - え、、退会しとる、、、、なんで⁈ (2022年3月20日 18時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 残念ですけど、気がついたら続きを書いてください! (2021年12月8日 22時) (レス) @page10 id: 51c9a307dd (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 誰もいなくならなくて、怖いけど読める。ちゃんと需要あります。だからのんびりでも再開お待ちしております。 (2020年8月25日 18時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - とても残念です…。もっと読みたかった… (2020年8月11日 8時) (レス) id: 59bc6ae80d (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 一気に読んでしまいました!『怖いけれど怖すぎない』怖がりな私にとっては願ってもない小説です!これは恋愛要素は入る予定はあるのでしょうか?あ、更新楽しみにしています! (2017年10月30日 11時) (レス) id: 71d67aeb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤野@征弥 | 作者ホームページ:http://なにそれオイシイノ?
作成日時:2017年7月22日 11時