動揺と指導室 ページ4
「次の角曲がったらっ、その先の教室にっ、とりあえず入るよ！」
「それで撒けるんですかね」
「そんなんわかるわけないじゃん！」
息も切れ切れに、青年は提案を持ちかけた。確かに、もうこれ以上彼を走らせる事は難しそうだ。いつから逃げていたのかはわからないが、後方の化け物は特に疲れも見られない。
無数に生えた人間の腕が、こちらに必死に手を伸ばしているのを見ると、気持ちが悪い。が、彼らの目的は何だろう。母体への食料供給か？ハリネズミって肉食だったっけ。
無駄事を考えているうちに、やっと曲がり角までやってきた。90度切り返すと、すぐにそばの教室の扉に手を掛ける。すんなりと開いた扉に、私たちはすばやく身を滑り込ませた。
鍵を閉めた扉の向こう側を、何かが通り過ぎていく音が聞こえる。
音が聞こえなくなって、しばらくすると、青年はため息を吐いて床に座り込んだ。
「はあ……なんっなの、もう……ほんと、ここどこなの？意味わかんないんだけど……」
「何なんでしょうね」
同じように床に腰を下ろして、軽く伸びをした。学ランもやっぱり走りにくいものは走りにくい。
「ってかあんたもだよ！誰なの、なんであそこにいたの？」
「名乗ってから聞くものでは？」
「質問に質問で返すな！……及川徹。で、あんたは？」
「答えるとは言ってません」
「はあ！？」
薄暗がりで分かりにくいが、おそらくきっと端正であろう顔を歪ませ、怒りを露わにする。からかい甲斐があるが、そろそろやめてやろう。
「答えないとも言ってないじゃないですか。……禊Aです。どうぞよろしく」
「……もしかして、女の子？」
肯定すると、彼はそのまま膝に顔を埋めた。ぶつぶつと何か言っているようだが全く聞こえない。とりあえず何か言おうにも言葉が全く浮かばないので、腰を上げて、あたりを見回した。
壁を覆い尽くす本棚と、その中に詰め込まれた、問題集や資料……。中央部には長机が二つ、並べて置いてあった。
ドアプレートを見る限り、進路指導室とかいう部屋らしい。確かに大学などの資料ばかりな気がする。
軽く漁ってみるが、特にめぼしいものは見つからなかった。
「……ねえ、何してんの」
「武器とか、ないかなと思って。あんな奴がいるならパイプの一本でも持ってた方がいいじゃないですか」
「喧嘩慣れしてんの……？ってか全然パニックになってないよね」
ようやく落ち着いてきたな、と少し笑って返す。それにまた彼は顔をしかめた。
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reia(プロフ) - え、、退会しとる、、、、なんで⁈ (2022年3月20日 18時) (
レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 残念ですけど、気がついたら続きを書いてください！ (2021年12月8日 22時) (レス) @page10 id: 51c9a307dd (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 誰もいなくならなくて、怖いけど読める。ちゃんと需要あります。だからのんびりでも再開お待ちしております。 (2020年8月25日 18時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - とても残念です…。もっと読みたかった… (2020年8月11日 8時) (レス) id: 59bc6ae80d (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 一気に読んでしまいました！『怖いけれど怖すぎない』怖がりな私にとっては願ってもない小説です！これは恋愛要素は入る予定はあるのでしょうか？あ、更新楽しみにしています！ (2017年10月30日 11時) (レス) id: 71d67aeb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤野@征弥 | 作者ホームページ：http://なにそれオイシイノ？
作成日時：2017年7月22日 11時
