災厄の始まり ページ2
Side Misogi.
蝉の声がコンクリートに反響して騒がしい、本格的な夏がやってきた。相変わらず蒸し暑い体育館の中で、練習する部員を傍目にマネージャーは記録をつけていた。
たいして動きもしないのに、熱気がひどく、流れる汗は止まる気配もない。時々タオルで拭いながら、彼らの動きを、じっと見つめる。入部したばかりでまだわからないことが多い＿＿と、本来は言うはずなのだろうが、私、禊Aは入部する前から何度も手伝わされてきた仕事なので今更何も言うことはない。
休憩のホイッスルをそろそろ鳴らそうかというときに、事は起きた。
勢いよく扉を開ける音がして、一人の女性が飛び込んできた。練習中の部員も、驚いてそちらを見る。
「……どう、したの？真雪さん」
ゼエ、ゼエと肩で息をしてそこに立っていたのは、この烏野高校の養護教諭にして私の叔母、
ひるんで、一歩下がった私の腕を、勢いよく真雪さんは掴んだ。
「なんでここにいるの」
「は？え、だって部活が」
「入ってなかったじゃない」
「……この間、入ったんだよ」
「聞いてない。……けど今はそれどころじゃない、早くここから離れないと……」
きっ、と睨みつけ、何か小声でぶつぶつと物を言う。私がそれを聞き取れないでいると、彼女は力任せに私の腕を引っ張った。バランスを崩した私の手から、鉛筆が滑り落ちて音を立てた。踏みとどまろうと引っ張り返す私に、またもや真雪さんは鋭い目を向けてくる。
「何を」
「早くここから離れないと」
「な、何で？」
素っ頓狂な声を出した私に、さらに腹が立ったのか、ついに彼女は叫声を上げる。
「早く戻らないと！あなたが！っあなたが災厄に巻き込まれる！！だからその前に戻るの！離れるの！！」
「せ、先生落ち着いて……」
「誰だか知らないけれど、この子が今どんな状況なのかわからないのなら口を挟まないで！！」
間に入った東峰先輩をも睨みつけて退かせる。空気は一気に凍りついた。
「ともかくあなたは帰らなきゃいけないのよ」
「……見てわかるでしょ、部活の途中なんだけど」
「部活の途中だろうが何だろうが……関係、ないじゃない！あなたの厄とこの学校の何かが！！共鳴を始めてるの！！だから早く……っ」
彼女の体が、がくんと下に落ちる。驚く彼女はもがくが、異変に気付いたときには、もう遅い。
暗転。
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reia(プロフ) - え、、退会しとる、、、、なんで⁈ (2022年3月20日 18時) (
レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 残念ですけど、気がついたら続きを書いてください！ (2021年12月8日 22時) (レス) @page10 id: 51c9a307dd (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 誰もいなくならなくて、怖いけど読める。ちゃんと需要あります。だからのんびりでも再開お待ちしております。 (2020年8月25日 18時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - とても残念です…。もっと読みたかった… (2020年8月11日 8時) (レス) id: 59bc6ae80d (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 一気に読んでしまいました！『怖いけれど怖すぎない』怖がりな私にとっては願ってもない小説です！これは恋愛要素は入る予定はあるのでしょうか？あ、更新楽しみにしています！ (2017年10月30日 11時) (レス) id: 71d67aeb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤野@征弥 | 作者ホームページ：http://なにそれオイシイノ？
作成日時：2017年7月22日 11時
