Campus 67 ページ22
夜久side
黒尾と話がしたくて連絡を入れる。数十分して黒尾は約束の場所に来た。
黒「で?」
その言葉で周りの温度が下がった気がした。
2人の視線がぶつかる。
黒「呼び出した理由は分かる。…俺のこと殴りたいんだろ?」
夜「……俺がそうしたら、お前の気持ちは変わるのかよ」
黒尾は一瞬だけ目を見開いて、ふっと視線を逸らした。無意識のうちに…拳を握っていた。
黒「さっきまで、研磨とAと遊んだ。Aの家は両親が海外に行っていないから出かけるのは久しぶりなんだとよ。悪いな、お前より先で」
何処か挑発するような話し方に、夜久もまた、拳を握っていた。
それは、だんだんと強い力になる。
黒「俺といる方が楽しかったりしてな」
カァッと、頭に血が昇るのがよくわかった。
瞬きする間もなく、俺は黒尾の胸ぐらを掴んでいた。
黒「……ほんとAのことになると熱いんだなお前」
至近距離で睨み合い、やがて手を離した。
そして俺を見据える。
黒「(インターハイ予選があるのに)本気になるなんて、アホらしいって思ってたけど……」
ゆっくりと瞳が重なった。
黒「夜久、お前から奪ってやる」
かっこいいな、お前は。
その時確かに、夜久の脳内に…あの笑顔が浮かんだ。
けど…
夜「……けど、どうせ俺は、お前に勝てねーよ」
弱気になる俺に容赦無く刺さる言葉。
黒「は?何だよそれ。ひとりで勝手に振られた気になってるお前になんか、負ける気しねーわ」
目を合わせられない。
カッコ悪。なんだ俺。
黒「逃げんじゃねーぞ」
自分から呼び出しておいて、かっこいいことばかり言われて、ひとつも男らしいことが言えなかった。
黒尾も、羽鳥のこと好きなのは前から知ってたけど、どこか、それでも俺は負けないなんて思っていた。
黒尾と別れて、なんとなく携帯を取り出す。
会いたい、素直にそう思った。
俺から避けておいて、今更何言ってんだって自分でも思った。
けど、このままでいいはずないって、黒尾が挑発したのはきっと逃げないで話せよって意味だと思う。
でも、奪うっていうのは本気だ。
グズグズしてるなら遠慮はしないって、そういう意味だ。
気がついたら、電話をかけていた。
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ぱーぷる姫(プロフ) - yuk71121159さん» ご意見ありがとうございます!次回、小説を書く時は大人の展開を描けたらと思います。 (2月17日 23時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
yuk71121159(プロフ) - 羽鳥さんと夜久くんのこの先の展開が楽しみですが、キスで終わって欲しくなかったです。 (2020年3月23日 1時) (レス) id: cd96969519 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ@天かすっこ(プロフ) - イドリーさん» いえ、少し気になってしまったので....... (2020年1月30日 16時) (レス) id: f129b71bbe (このIDを非表示/違反報告)
イドリー(プロフ) - ひとみ@天かすっこさん» こんばんは。公式で下の名前で呼んでいる描写があったと思って書いていたのですが、きちんと確認しますね!すみません! (2020年1月30日 2時) (レス) id: 019d610005 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ@天かすっこ(プロフ) - コメント失礼します!夜久さんがオチで面白かったんですけど夜久さんって黒尾さんのこと鉄郎じゃなくて黒尾って読んでませんでしたっけ.......?間違ってたらすみません! (2020年1月25日 18時) (レス) id: f129b71bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱーぷる姫 | 作成日時:2014年8月5日 20時