52 ページ16
結局、状況は何も変わらないまま試合の時間になった。
私は稲荷崎のそばにつきながら、居心地の悪さを痛感していた。
『・・・今日の最初の対戦相手、音駒か・・・』
ここで音駒と戦うのは、本当にタイミングが悪い。
「・・・A、黙ってそこで見とけ。」
機嫌が悪いままの侑にきつく言われる。
『・・・流石に試合くらい、ちゃんと見るよ。』
そしてコートに入った侑と治が、ネット越しに研磨と何かを話しているのが見えた。
何を話しているのか分からないけど・・・すごい、ピリピリしてる。
「まさか今日の一発目からあんたらが相手とはな。さっさとぶっ潰したるわ。」
「Aにあんなん言わせるなんて、ほんまえげつないアタマしとるわ。」
「・・・どうだろうね。そっちはとりあえずアタマ冷やした方がいいと思うよ。」
「はあ？心底むかつくやつやな・・・！！この試合、勝つのは俺らや！！」
そして、決して良いとは言えない雰囲気の中、始まった試合。
・・・その試合の結果は、2-0で稲荷崎の圧勝だった。
『・・・圧倒的、すぎる・・・』
正直、稲荷崎の圧倒的な強さを見せつけるような試合だった。
合宿の期間でもみんなが強くなっていたのは感じてたけど、音駒を相手にあんなプレッシャーのかけ方をしていたのは、さっきの件があったからな気がしてならない。
・・・あそこまで本気な姿は、合宿中に見たことがなかった。
そこまで本気になってたのってさ・・・。
「・・・ほんま、不器用で素直になれへんやつらや。」
『えっ、信介くん・・・？』
控えにいた信介くんが眉を下げながら薄く笑う。
「・・・音駒相手やし、プレーで伝えようとしたんや。分かってくれん、A。」
『・・・プレーで、伝える・・・？』
・・・一瞬だけ、私の中で何かが揺れたような気がした。
「・・・研磨ァ、なんか稲荷崎のやつらに吹っかけた感じ？」
「・・・うん、Aのことでちょっとね。
でも完敗だね、俺たち。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無月のぞみ - 私的には音駒か梟谷に行って欲しかった！ (12月1日 16時) (
レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
クリームうんちょ - すごく心残りがないお話でスッキリしました！！！！！お疲れ様です！！良い作品でした！！ (2022年1月5日 15時) (レス) @page31 id: 64d596bd65 (このIDを非表示/違反報告)
inno - 完結おめでとうございます (2020年6月20日 21時) (レス) id: 637a950f3e (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 以前読ませて頂いたのですがとても素敵でした！更新待ってます！ (2020年6月12日 23時) (レス) id: 96098a2a12 (このIDを非表示/違反報告)
inno - 白布くんかっこいい (2020年6月12日 21時) (レス) id: 637a950f3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小林 | 作成日時：2020年6月4日 19時
