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時刻は夕方。
『研磨・・・今まで黙っててごめんなさい。』
「いいよ。俺こそ、たくさん傷ついていたのに気づいてあげられなくてごめんね。」
・・・リエーフくんに話したことをきっかけに、私は研磨と2人きり静かな空間で、今まであったことを話していた。
最初、研磨は「もっと早く言って欲しかったな」と少し悲しそうな顔をした。
・・・隠すなんて、本当に申し訳ないことをしてしまった。
『あ、あの・・・研磨は、いまの私になんて言う・・・?』
・・・私はほんの少しだけ、リエーフくんと同じように、"音駒に戻ってくればいい"っていう言葉を期待した。
だけど、研磨の口から出た言葉は予想していたことと全く違うものだった。
「・・・俺はAの味方でいたいから、Aを応援するよ。」
研磨はまっすぐな目で私を見た。
え・・・それって、どういうこと・・・?
「Aはこのままじゃ不安だろうけど・・・大丈夫だよ。稲荷崎から離れようって思わなくても。」
『え?ま、まって、』
「・・・稲荷崎に、Aが必要だと思うから。」
『け・・・研磨、何言って・・・』
離れようとしなくていい?稲荷崎に私が必要・・・?
・・・どうしてそう思えるのか分からないよ。
「・・・いまのあの人たちじゃ、当然それがAに伝わるわけないけどね。」
私の反応を見て察したのか、研磨はそう言った。
・・・そのとき、私はさっき侑に言われたことを思い出した。
私が稲荷崎から離れることを止められたとき、侑の気持ちを考えもせずスルーしてしまった。
あのとき、なにか伝えたいことがあったのかな・・・。
そのまま黙っている私に、研磨は投げかけた。
「・・・ねえA。本当に、稲荷崎からAがいなくなるってなったら・・・あの人たちも少しは変わりそうだよね。」
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水無月のぞみ - 私的には音駒か梟谷に行って欲しかった! (12月1日 16時) (レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
クリームうんちょ - すごく心残りがないお話でスッキリしました!!!!!お疲れ様です!!良い作品でした!! (2022年1月5日 15時) (レス) @page31 id: 64d596bd65 (このIDを非表示/違反報告)
inno - 完結おめでとうございます (2020年6月20日 21時) (レス) id: 637a950f3e (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 以前読ませて頂いたのですがとても素敵でした!更新待ってます! (2020年6月12日 23時) (レス) id: 96098a2a12 (このIDを非表示/違反報告)
inno - 白布くんかっこいい (2020年6月12日 21時) (レス) id: 637a950f3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小林 | 作成日時:2020年6月4日 19時