検索窓
今日:42 hit、昨日:40 hit、合計:136,623 hit

2 ページ41

「ホラ王様!そろそろ本気出した方がいいんじゃない?」

月島くんの煽りは私が全部全部ひっくるめてコート外でひっそりむしゃくしゃしておくから。
だから、どうか。3人は気にしないでペースを保って……!
近くにあったボールを掴み、ギュッと力を込める。
ボールを抱えていたら自然と落ち着いてくる、ハズ、多分。多少なら。

「横暴が行き過ぎてあの決勝、ベンチ下げられてたもんね。」

「……っ」

とうとう月島くんの煽りは、影山くんの噂の決勝戦の話になった。
もちろんあれは、影山くんがとても悪い。それはそれは、悪い所がいっぱいあった。彼だけを擁護するつもりは毛頭ない。けど。
影山くんは、誰よりも一生懸命に、バレーをしていただけなんだ。彼の一生懸命に着いて来れる人が、1人でもいい。たった1人でもいたら、きっと。きっと、最強のチームになれたんだ。
ぎゅ、と握りしめたボールが自分の手に馴染んで形を変える。

「……」

影山くん、わかってるよね。こんな煽り、屁でもないよね。
シビれる試合、見せてくれるんだよね。だって今の影山くんは、昔の影山くんとは違う。
日向くんとたくさん練習を重ねて、一緒に、強くなった。あの時のことを、もう思い返して落ち込む必要はないんだよ。
祈るような気持ちで黙ってしまった影山くんを見つめた。
なのに、

「……ああ、そうだ。
トスを上げた先に誰もいないっつうのは、心底怖ぇよ。」

その言葉を聞いて、すぅ、と自分が大きく息を吸い込んだのがわかった。
ひゅっと心臓が冷えて、なのに、頭はかっと熱くなる。

「っだからそれは!!」

「えっ でもソレ、
中学のハナシでしょ?」

あ、と思った時には、日向くんが言いたかったことを言ってくれていて。
立ち上がって無駄に大きな声を出した私は、何事かと皆の視線を一心に浴びた。
身体中の血の気という血の気が引いていく。
両手で潰さんばかりに挟み込んでいたボールが、するりと滑り落ちた。

3→←第9話:重ねた相手



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
223人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄 , HQ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しおり(プロフ) - 夢主さん» ありがとうございます🥲あともう少しで完結なので楽しく書き進めたいと思います☺️ (2022年10月24日 8時) (レス) id: e0e048fd48 (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - しおりさん» 笑笑ほんとに面白いです!めっちゃ今読みあさってます! (2022年10月23日 22時) (レス) id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夢主さん» はっ……どう、でしょう……? (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - ちゃんと小学バレーローテしてないって事理解してるあたりバレーしてますよね😎 (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/  
作成日時:2021年8月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。