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「ホラ王様!そろそろ本気出した方がいいんじゃない?」
月島くんの煽りは私が全部全部ひっくるめてコート外でひっそりむしゃくしゃしておくから。
だから、どうか。3人は気にしないでペースを保って……!
近くにあったボールを掴み、ギュッと力を込める。
ボールを抱えていたら自然と落ち着いてくる、ハズ、多分。多少なら。
「横暴が行き過ぎてあの決勝、ベンチ下げられてたもんね。」
「……っ」
とうとう月島くんの煽りは、影山くんの噂の決勝戦の話になった。
もちろんあれは、影山くんがとても悪い。それはそれは、悪い所がいっぱいあった。彼だけを擁護するつもりは毛頭ない。けど。
影山くんは、誰よりも一生懸命に、バレーをしていただけなんだ。彼の一生懸命に着いて来れる人が、1人でもいい。たった1人でもいたら、きっと。きっと、最強のチームになれたんだ。
ぎゅ、と握りしめたボールが自分の手に馴染んで形を変える。
「……」
影山くん、わかってるよね。こんな煽り、屁でもないよね。
シビれる試合、見せてくれるんだよね。だって今の影山くんは、昔の影山くんとは違う。
日向くんとたくさん練習を重ねて、一緒に、強くなった。あの時のことを、もう思い返して落ち込む必要はないんだよ。
祈るような気持ちで黙ってしまった影山くんを見つめた。
なのに、
「……ああ、そうだ。
トスを上げた先に誰もいないっつうのは、心底怖ぇよ。」
その言葉を聞いて、すぅ、と自分が大きく息を吸い込んだのがわかった。
ひゅっと心臓が冷えて、なのに、頭はかっと熱くなる。
「っだからそれは!!」
「えっ でもソレ、
中学のハナシでしょ?」
あ、と思った時には、日向くんが言いたかったことを言ってくれていて。
立ち上がって無駄に大きな声を出した私は、何事かと皆の視線を一心に浴びた。
身体中の血の気という血の気が引いていく。
両手で潰さんばかりに挟み込んでいたボールが、するりと滑り落ちた。
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しおり(プロフ) - 夢主さん» ありがとうございます🥲あともう少しで完結なので楽しく書き進めたいと思います☺️ (2022年10月24日 8時) (レス) id: e0e048fd48 (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - しおりさん» 笑笑ほんとに面白いです!めっちゃ今読みあさってます! (2022年10月23日 22時) (レス) id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夢主さん» はっ……どう、でしょう……? (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - ちゃんと小学バレーローテしてないって事理解してるあたりバレーしてますよね😎 (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2021年8月24日 22時