第6話:応援するよ ページ26
第6話
いける。直感でそう感じた。今日、日向くんは10分のラリーをクリアする。絶対に。
影山くんが打ち込んだ強打を、今までの日向くんなら取れなかった。でも、
「おいっ手加減すんなっ」
「上等だァ!!」
影山くんを煽れるくらいに、余裕のあるレシーブ。まだ私は、1度もボールを拾いに行っていない。それは、日向くんが1度もボールを落としていないということで。
強く両手を握りしめて、祈る思いで2人を見つめる。
右、前、強打。まだまだ日向くんの読みは甘いけど、それを払拭する圧倒的運動センスが彼にはあった。
「……っ」
もう、とっくに10分は経っていた。でも、今の2人の勝負は、そこではない気がして。
ぜぇはぁと息をする日向くんには悪いと思いながらも、私はラリーを止める合図をしなかった。
だって、
「そろそろ限界だろ!もうこのくらいで……」
「まだっ」
そう、まだ、
「ボールッ……!!落としてない!!!」
「!!」
ボールを落とさなければ、バレーは負けない。
それは、日向くんも、なにより影山くんも、よく分かっていることだ。
日向くんの言葉を聞いた影山くんが、一瞬怯んだように見えた。その怯みを悟られないようにするためか、力任せにバシッとボールが遠くに打たれる。
遠い。取れないかもしれない。と思った。
でもすぐにその考えを改める。日向くんは、諦めていなかったから。
ボールに向かって、一直線に、走る。走る。
15分以上続いたラリー。足はもう、限界のはずだろう。それでも日向くんは、ボール目掛けて全力で走っていた。
「間に合うよ!!!」
思わず、日向くんに向かって大きく叫んだ。
飛び込んだ日向くんの手が、ボールに触れる。
ボッとしっかり手に当たった音がして、ボールが高く、あがった。
ぎっ、と日向くんから悲鳴が聞こえて、まだお世辞にも上手いとは言えないフライングで、顔面を強打しているようにも見える。
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しおり(プロフ) - 夢主さん» ありがとうございます🥲あともう少しで完結なので楽しく書き進めたいと思います☺️ (2022年10月24日 8時) (レス) id: e0e048fd48 (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - しおりさん» 笑笑ほんとに面白いです!めっちゃ今読みあさってます! (2022年10月23日 22時) (レス) id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夢主さん» はっ……どう、でしょう……? (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - ちゃんと小学バレーローテしてないって事理解してるあたりバレーしてますよね😎 (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2021年8月24日 22時