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「あっ」

「あ!」

その時、影山が今までで1番強い強打を打った。
初めてAさんがボールを弾き、高く後ろに飛んで行くのが見えた。ラリーが終わったと、思った。でも、

「っ!」

Aさんはそのボールを追いかけ、もう一度自分でレシーブして影山の頭上へと返した。弾いたボールが高く上がったのが幸をそうして、なんとか間に合ったようだ。
やった!と思ったのも束の間、今度は影山が前にボールを落とす。

「性格悪ぃ!!」

思わず抗議するも、Aさんは諦めていなかった。全速力で前に走り、綺麗なフォームのフライングをする。
ボールが床に着くギリギリのところで、Aさんの手の甲がボール下に入ったのが見えた。

「あがった!!」

今度は田中先輩が驚いたように声を上げる。
のに。影山は返ってきたボールを今度はAさんの後ろへと素早く飛ばした。
滑り込んだ状態のAさんが立ち上がった時には、影山の手からボールは離れていて。
ボールのスピード、Aさんの位置から、確実に間に合わないと思った。拾えないと。

「このっ」

それでも、Aさんはその場で大きくジャンプした。走ったって間に合わない。だから、跳んだ。

「高い……!」

きっと、田中先輩や影山の方がずっと高く跳べるはずなのに、それでもAさんはとても、とても高く跳んだように見えた。
伸ばしたAさんの右手がボールに触れる。
でも、僅かにしか触れられなかったボールは、そのまま後ろへと飛び、床に、落ちた。
ポンポン、と何度かバウンドし、コロコロと転がるボール。
あんなの、誰だって取れっこない。いや、今までで1番強い強打を打った時から、影山はAさんにボールを拾わせないようにしているようにすら感じた。
なぜあんな、取れなくて当然のようなボールを……?

「あー!!」

その時、体育館に声が響いた。
声が聞こえた方を見ると、そこにはAさんがいて。聞き間違いかと思ったほどに、今までの姿からは想像のできない大きな声だった。
Aさんは床にしゃがみ込んでいて、自分の膝をポコポコと叩いたかと思えば、ガバッと顔を上げた。その顔はとても、とても嬉しそうで、悔しそうで。そして、

「もう一本!!」

そう影山に言ってから、ハッとしたように口を手で覆った。
間違いなく、今のはAさんの本音だと思った。
Aさんはバレーがすごく好きで、大好きで、でも、何かやりたくないと思った理由があるんだ。

3→←第4話:練習の目的



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設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄 , HQ   
作品ジャンル:恋愛
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しおり(プロフ) - 夢主さん» ありがとうございます🥲あともう少しで完結なので楽しく書き進めたいと思います☺️ (2022年10月24日 8時) (レス) id: e0e048fd48 (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - しおりさん» 笑笑ほんとに面白いです!めっちゃ今読みあさってます! (2022年10月23日 22時) (レス) id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夢主さん» はっ……どう、でしょう……? (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - ちゃんと小学バレーローテしてないって事理解してるあたりバレーしてますよね😎 (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/  
作成日時:2021年8月24日 22時

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