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それだけ.2 ページ3

「さっきのやつら、なんで謝らんのやろうなあ」


平然と話す宮侑。
私には衝撃的すぎて、少し遅れてから反応ができた。

「そうだねえ」

「痛かったやろ、ほら、立ちぃや」

私より先に起きた宮侑は、私に手を差し出した。
その手を取らないなんて流石にできんくて、手を乗せたらふわっといきなり変わる世界。

「おお……、ありがとう」

なんて言えばいいんか分からんかった。


「怪我しとらん?」

「大丈夫、ありがとなあ宮くん」

「いや、あいつらがあかんし。
何気に宮さんと話すの初めてやし」


ほんとにそうだよ。
少し笑うと、宮侑もわらった。

「なんや、自分の苗字言うって変な感じやなあ」

「ほんまよね」


宮侑もそんなこと思ってたんや、ていうか優しいんやなあ。

「名前、Aやったよな?」

「そう」

「名前で呼んでもええ?」


びっくりしすぎて自分の目が見開かれるのがわかる。
それってどうなんやろ。

「変な感じなんやもん、あかん?だめ?」




ーーでも、そんな顔で「あかん、だめ」は逆にこっちがあかんやろ。

かっこいい顔が至近距離にあって、さすがに照れる。
いやまあ、顔だけやないけども。

「え、ええよ」


照れを隠すように言うと、宮侑はニカッと笑った。

「じゃあ俺も侑でええよ、よろしくな、A」

「よろしくね、宮……やなくて侑くん」



ほんなら気をつけてな。
そう言って彼は佐々木くんの元へかけて行った。
最後にすばらしい、国宝級の笑顔を見せて去っていった宮侑。

いやこれは女子が惚れるわ。
イケメンやけど、性格もイケメンやわ。


「A〜〜?」

呼ばれてハッと意識が戻る。
目の前にはみわの顔。

「まさか宮侑の方から声かけてくるとはなあ」

「びっくりしたわ」

「……で、どうやった、宮侑」


思い出すだけで照れる。
侑くんなんてさすがに呼ばれん、恥ずかしすぎる。

「かっこよかったし、優しかったで」

これは私の本音。

「ええなあ、A。朝からあんなイケメンと話せて」

「びっくりしたわ」

今度は自分の宮侑に対しての反応を思い出して、少し笑える。
びびりすぎやなあ、私。

「あ、そういえばみわさっき言おうとしとったやん、あれなんやったん?」

「ああ、」

思い出したようにみわはぽんと手をうつ。


そして、にやりとわらった。








「でももしかしたら、そこから始まる恋も、あるかもしれんで」






……え

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作者名:やふ | 作成日時:2018年7月13日 21時

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