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それだけ.1 ページ2

「おーい、宮!」



男子生徒が、宮と呼ぶ。
私は宮A。
でも呼んでいるのは、私ではないのだ。


「なんやー、佐々木」

声のした方を見ると、例の双子の片割れ、宮侑がいた。

みながら、今日もイケメンやなあ、なんて思ってたら目がバッチリとあってしまった。


話したことも、同じクラスになったこともないしすぐに目をそらす。
変わらず歩き始めた私に、宮からの視線を感じた。


「この前貸してほしいっていいよったCDもってきたでー」

「お、ほんま?あんがとうな」


なるほど、宮侑はやはり人望がある。
まあ私もCD貸してくれる友達はいるけど、とちょっとドヤ顔になる。


「A」

今度は私が呼ばれる番、ふりむくとみわがいた。

「おはよー」

「おはよ、今日も宮侑はイケメンです」


そう言うと、みわは少し笑った。

「そうですね」


宮からの視線はまだ少し感じるけど、はやくここから離れてしまおう。
「宮くん、めっちゃAのことみとるで」

え、まだそんなにみとるの。

「ほんま?」

「おんおん」

「まあ多分、あ、俺ら以外の宮や〜って感じやと思うで」

宮侑の声を真似しながら言うと、またもやみわはふきだした。

「そおかもな、でも」

でも、なんだ?





「ギャハハハハ」
変な笑い声で、私とみわの視線はそっちへ移る。
そこには、笑いながら少し走る男子たち。
こちらにむかってきて、ドンと肩にぶつかられる。

「ーーうわっ、」
体制が崩れる。

ーーーああ、これこけるわ。


鈍い痛みと共に、響く低い音。
廊下だから良かったものの、膝はやっぱり痛い。


「わっ、A大丈夫?」

一緒にしゃがんできてくれるみわと一緒に、ぶつかってきたヤツらをみる。

こっちにぶつかってないみたいに、なんにも言わずに笑いながら走り続ける男子たちに、怒りを通り越して呆れが出た。

まあそこまで言うことはないけどね。
いたいけど。


はあとため息をついて、起き上がろうと床に手をついた時、私に影がかかった。


「大丈夫、宮さん」

その声は、やはりどこかで聞いたことがあるような気がして、まさかと思う。


顔を上げる。
そこには、まだ話したことのない、私じゃないほうの、宮がいた。
それも、金髪のほう。


ーーー宮侑。

何も言えずに、きっと驚いた顔をしていただろう私に、宮侑はさっきのみわのようにしゃがんだ。

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作者名:やふ | 作成日時:2018年7月13日 21時

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