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「ちょっとおふたりさーん。俺がいるの忘れんとってやー？」
木の下からおーいと手を振る大先生に今気付いたらしいゾムはバッと顔を赤くし「なんでおんねん！」と大先生の背後に回ると腕で首を絞めた。
「ぐぇえ…お前がッ…気付かんかった…だけやろッ…」
「覗き見なんて最低やで」
「覗かれて困ることせんといてくださいー」
「よっしゃ、絞め落とすわ」
ギブギブ！と腕を叩くと解放される大先生。
顔を真っ青にし「ゾム許さないんだから！」と言いながら逃げるように庭園を後にした。
「ゾム」
木の上から呼びかける。
ゾムは気恥ずかしそうに振り向くと「何？」と見上げた。
「ありがとう。どんな傷でも、絶対治してあげるね」
「…おう。頼んだ」
戦場に赴くことの無いAは、自分の幹部というポジションに疑問を抱いていた。
幹部は回数の多い少ないはあっても戦地へ赴き戦いで成果を上げてきた者たちだ。
どの人物もグルッペン総統の右腕だと言われても頷けるほどに。
コネシマの言う通り「赴かない人間の意見など」と思われても仕方ない事は分かっているつもりだ。
安全圏からなら人はなんだって言える。
図星を突かれて自分の意見に自信を無くしていたところだったのだ。
しかし、顔を上げる。
戦場へ赴かないからなんだ。
私はここで、戦ってる。
ここが私の戦場だ。
パチンっと頬を叩き、木から飛び降りる。
ゾムの隣へ駆け寄ると「午後からの実践訓練頑張ってね！」と背中を思い切り叩く。
「誰やと思ってんねん」と自信ありげに笑うゾムとAが恋に落ちるのは、まだ少し、先の話だった。
END
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
