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「こんなところにおったんかA」
舞い散る桜の中、フードを被った男が現れる。
男は木の上にいるAを見つけるなりバッと勢いよく走り出し、根元でグッと重心を下げると一飛びで座っている枝上に着地した。
突然目の前に広がった浅緑の瞳は宝石のように煌めいていて思わず息を呑んでしまう。
「ぞ、ゾム…」
「Aに一言言いたかったんや、なのに先出てってしまうから」
「一言…？」
ゾムはそう言って膝を抱えていた手を取る。
突然のことに驚いているとその手を自身の大きな手で包み込み、額に押し当てるように引き寄せた。
「ありがとう。Aが俺らのこと心配してくれたのは痛いほど伝わったわ。作戦実行は止められないけど、絶対死んだりせぇへんから…安心して医務室で待っといてくれや」
傷だらけのゴツゴツした手は乾燥していて所々ヒビが入っている。
数多の戦いを生き抜いてきた彼らの手は皆例外無く、たくさんのものを抱えて生きている。
戦場へ赴くことのない唯一の幹部であるAはその抱えているものを、傷を、彼らを蝕むほど大きなものにならないよう、治療すること。癒すこと。
そのためならどんなに上の立場の人間だろうと、たとえ敵であろうとも立ち向かうのが医療に携わる自分の責務だと自負している。
それが戦地へ赴くことのない者の戦いなのだ。
「医務室で待っといてって…怪我して帰る気満々じゃんか…」
「うん…まぁ…それは避けられないというか…多少は仕方ないというか…」
急に自信が無さそうに口籠るゾムにAは笑う。
それに釣られるようにゾムも眉を下げながら遠慮がちに笑った。
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
