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「全力でやって負けたからなぁ。Aのナイフ飛ばしてなかったら死んでたな」
「トントンが捩じ伏せられるのなんて久々に見たわほんまに」
「爽快やったろ！？」とゾムは打撲した腕を出しながらAに問う。
戦闘狂じゃないので楽しさより必死さの方が勝っていたと説明すると、そんなもんかなぁと価値観に疑問を抱きながら湿布を貼った。
時間はすっかりお昼になっており太陽はてっぺんまで登っていた。
Aはクーラーボックスをガチャンと開けると大量のおにぎりを取り出し、テント前に置いた簡易テーブルの上にドンっと乗せた。
「お昼過ぎちゃうかなと思って、食堂の人に頼んで握ってきました！人の作ったおにぎりなんて食えん！って人もご安心を。手袋して万全の衛生体制でやってきましたよ！」
文字通り山のように積み上がったおにぎり。
朝が早かったため朝食は全員携帯食料のみだったので綺麗に形作られたおにぎりに歓声を漏らした。
「中身は左から鮭、おかか、シーチキン、梅です。お茶も置いておくので治療終わった方からご自由にど……」
説明の途中ではあったが腹ペコの全員は「うをぉおおお！」と言いながらラップに包まれたおにぎりを俺のものだと言わんばかりに掻っ攫っていく。
「コネシマお前鮭ばっか取るんじゃねぇ！」
「俺はシャケさえあればいい！むしろシャケ以外いらん！」
「全種類もらってもいいですかこれ！？」
「シャオちゃんおかか取って〜」
全くこの人らは……と思いながらも目の前のおにぎりがあっという間に消えていく様は気分がいい。しっかり塩の効いたおにぎりは運動した彼らがあっという間に平らげおにぎりの山は姿を消した。
「よーし！帰ってまた仕事やー！」
そう言うグルッペンに全員が重い腰を上げる。
雑談を交わしながら丘の上にある城跡を後にした。
陰鬱な雰囲気が漂っていたはずの城跡はなんとなく、彼らのエネルギーを得たのか少しだけ当時の活気を取り戻したように見えた。
END
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
