3 ページ21
・・・
「お！来たな！」
下へ降りると、いつもは白衣姿のAが全身真っ黒な服でテントを張っていた。
額には汗を滲まし、声に気がつくと汗を拭いながらおーいと手を振って笑った。
「お疲れ様です！遅れてすみません」
普段は白衣で隠れてはいたが、スラリとした身体にはほどよく筋肉が乗っており、非戦闘員とはいえきちんと訓練を受けていることは容易に想像できた。
努力を怠らないからこそ、幹部という地位に就いているというわけだ。
「いや、構わんぞ。エーミールとオスマンの様子はどうや？任せて大丈夫そうか？」
「全く問題ないです。『拠点はお任せを！』と言伝を預かってます」
今回幹部の全員、正確に言えば『ほぼ全員』は強制参加だ。
ただし幹部全員が外出し自拠点を開ける訳には行かないため戦闘場面の少ないエーミールとオスマンは留守番することになった。
「まぁあの二人なら問題無いやろ。なんなら兵士が一番サボったりせん組み合わせだわ。こえーもん」
ハッハッと笑うコネシマに「確かに」と苦笑いを溢す数人。
どうやら身に覚えがあるようだ。
「いや、でも戦闘場面の少ない奴が留守番ってならせんせーが一番最初に留守番組に入るんやないんか？」
ロボロの意見に説明を加えたのはトントンだった。
テントのペグ打ちを率先して手伝いながら続ける。
「今日実践的な訓練をするんは俺らだけや。怪我すんなら多分ここ。医療班ひとり借りる予定やったし、だったらこいつでええやろって事で呼んだんや」
ほい！終わり！とトントンは金槌をAに手渡す。
「それに拠点を攻撃された時ある程度自分の身は護れないと話にならんからな。数戦ではあるが参加してもらうゾ」
グルッペンの言葉に「はい！」と力強く返事をするA。
大丈夫かいなと心配そうに見るメンバーにAは続ける。
「本気でお願いします。それこそ殺すつもりで。対処できないと意味がないので」
Aの言葉に全員がニチャァと悪い笑みを浮かべる。
幹部になって皆よりはまだ日が浅い。
幹部だけの戦闘訓練に参加した事が無いわけだから、真面目に受けようとする彼女のまっすぐなセリフに、ここにいる数人は『哀れな子羊め』と思ったに違いない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
