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「私、コネシマさんとゾムに言われて思ったの」
Aは涙を白衣の袖で拭いながら話す。
「戦場に行ってない私が、戦場のことで何かを言うのは確かに出過ぎた事なのかもしれないって。ついさっきまで本気でそう思ってた」
コネシマはただ黙ってまっすぐ見つめている。
「でも、ゾムがさっき言ってくれた。心配してくれてありがとうって。その時に気がついた。ここが、私の戦場だって。兵士達の傷を癒すのも、生きて帰って来られなかった彼らを、おかえりと迎え入れるのも私。ここで戦ってる。例え銃やナイフを握らなくても」
擦って赤く腫れた目でAもまた、まっすぐコネシマを見つめる。
強く意志のある決意に満ちた目。
それはコネシマが何度も、戦場で見てきた仲間達の目つきそのものだった。
「せやな…その通りや」
そう言って、初めてAに笑って見せた。
他の幹部達と楽しそうに笑う時の、いつもの屈託のない笑顔。
止まったはずの涙はその笑顔を見てまたポロポロと溢れ出す。
「えぇ！？」とコネシマは顔を覗き込む。
「私ずっと嫌われてると思ってて…！嬉しくて…」
「あー…その…すまん。どう接したらいいか分からんまま気まずくなってやな…」
情けなくてすまんな、と言いながらコネシマは赤くなった目元から落ちる涙を親指で拭ってやる。
「これからはたまに顔出すわ！怪我があっても無くても」
「はい。怪我がなくても、お茶菓子ぐらいは出しますよ」
そう言うと、コネシマはニッと笑い「またなせんせー」と医務室を出ていった。
今回の作戦会議は敵に寝返った兵士を炙り出す為の偽情報。
ただし、時期が今じゃないだけで必ず行われる作戦だ。
それは変わらない。
コネシマがその作戦に参加する時、一体何を思うのだろう。
それが、コネシマなりの部下の弔いになるのだろうか。
Aには知る由がない。
ただ、優しい人だと知ったこの男が、誰かの為に涙を流す事が無いようになってほしい。
そう…心から思った。
END
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
