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・・・
「さて…謝りに行くかな」
誰も彼もが自分の現状を、胸の内を、仲間に喋るわけじゃない。
かくいうコネシマという人間もあまり辛い姿を見せることの無い男だった。
医務室をあまり利用しないのも幸い大怪我に見舞われた事がない、というのもあるが、あえて医療班幹部の女がいない時間を狙い、医療器具を借りると言って自身で治療を施していた。
ひとりで、物思いにふけながら『今日も死ななかった』と痛む傷を治すことで安心を得ていた。
故にAもコネシマのことはあまり知らなかった。
単純に嫌われているのだと思っていた。
全ての人間と仲良くなんて難しいことだと分かっている。
だからこそ、関わりを持たない事自体はあまり気にしていなかった。
しかし、ああ言われて傷付かないほど人間が出来上がっているわけでもない。
コネシマが放った言葉はAにとっては「ごもっとも」なわけであり、何を言ったところでそれ以上の答えを導き出すことはできなかった。
…ゾムに礼を言われるまでは、本当にそう思っていたのだ。
医務室のドアがノックされる。
いつもより大きな音。
「どうぞ」とだけ一言言うと椅子に座ったまま扉の方に体を向けた。
「あ…」
「どうもせんせー」
１８０以上あるコネシマは医務室の扉を少しだけ首を曲げ屈んで入る。
椅子に座っていたAはそんな大きな男を見上げるように見つめる。
しばらくの沈黙の後、ハッとしたように立ち上がりコネシマに近づく。
「ど、どこか怪我した…！？大丈夫！？実践訓練の時間まだなはずなのにどうしたの！？」
心配そうにコネシマの身体のあちこちを見る。
腕じゃない、足じゃない、じゃあどこ？まさか胸とか腹じゃないでしょうね！？
独り言のように呟きながら慌てるAにコネシマは笑った。
そして怪我をしていないと説明する。
「謝りに来たんや」
「謝る…？」
さっきの会議のことやと言うとAは黙り込む。
「ゾムに言われたんや、さっきの意見は感情的だったって。その通りやった…すまん」
深々と頭を下げるコネシマに両手を横に振る。
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
