医療班幹部のおしごと(zm) ページ1
「いつまでそんなところにおるつもりや〜」
「鬱くんだけは私の味方だと思ってた〜」
「バッカお前、俺は全人類の女の子の味方だっつの」
城の庭園に生えた大きな桜の木の上に女が膝を抱えて座っている。
身体を小さく丸め膝の上に顎を乗せムスッとした表情を浮かべていた。
拗ねているような、悲しんでいるような、そんな顔を見ながら木の下から見上げる大先生は煙草の煙をふぅと吐く。
「だからこそこうして慰めにきたやろ？A」
「サボりにきただけでしょ？」
「バレてたか〜〜」
ハッハと笑う大先生も桜の木を背に座り込む。
散った桜の花びらが絨毯のように美しく地面をピンクに染めあげていた。
目を細めながら吐く煙は上へ上がりAの鼻を掠める。
あからさまに嫌な顔をすれば背を預けたまま真上を向く大先生は「副流煙のお裾分け」と悪い顔をして笑った。
「それで？さっきのはなんや、珍しいことしよるな」
大先生の言うさっきの出来事、というのは幹部で行われた会議でのこと。
グルッペン総統閣下を含めた重要な会議であったわけだが敵の不意をつく奇襲作戦の全容を聞き、珍しくAは意見をし楯突いたのだ。
「幹部を含め、兵士達はつい先日行われた大きな戦いで今は疲弊してる。そんな状態で奇襲作戦なんてして取り返しのつかない怪我をしたらどうする？うちは人数だってそんなに多く無い。万全の状態で挑むべきだよ」
「…それはさっき聞いたで。でも作戦自体は悪いもんや無いし、奇襲言うても敵の小さな駐屯地を一つ潰すだけの簡単なお仕事や」
それに、その仕事を担うのはあの暗殺部隊やで。
そう言う大先生にAは眉を顰める。
そうか、彼女はそこが気に食わないのかと鬱は納得した。
「…うちの暗殺部隊は優秀だから、敵の偵察隊も兼ねてる。だからこそ、仕事量が多くてそして…死ぬ確率も高い。怪我も絶えない」
Aはこの組織の医療班だ。
最近ではあるが幹部の地位を与えられるほど優秀な人材で、人当たりも良く兵士たちからも慕われていた。
怪我をすれば必ずAの元に運ばれ治療されるのだが、先日あった戦いで暗殺部隊の数人が大怪我をして帰ってきたのだ。
目には目を、歯には歯を、暗殺には暗殺をと言わんばかりに襲撃を受けた彼らは近年続く長い戦いのせいもあり、ポッキリと心が折れてしまった者も数人いた。
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味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
