【愛されなかった】さよなら神様。【審神者】

後悔した１０８ ページ39

ＮＯside

加州がAの元を去ってから

あ「...はぁ」

彼は薬研の事で思い巡らせ
悶々とした気持ちを抱いていた。


.


正直言ってしまえば
今Aは薬研の顔が見たいと思ってしまっている。

だが、見てしまえば最後。

きっと自分の意思が揺らいでしまうことも
分かっている。


あ「あんな別れ方した手前、
合わせる顔なんてないよな...」


会わないようにしよう。



Aは心の中で、そうぼやいた。




＊＊＊




＿＿＿＿のは、少し前の話。


あ「...来て、しまった」


Aは今
薬研が篭っていると噂の部屋の前に立っていた。


その部屋は粟田口派の部屋ではないが
距離は近い。

できれば誰にも会いたくないものだった。


あ「失礼、します」


まぁ、時刻はもう真夜中を指しているので
誰にも会うことなく済ませそうだが。


あ「薬研...」

音を立てないように
部屋に入れば、隅っこで
布団にくるまる薬研の姿が見えた。

泣き疲れたのか、微かに垣間見えた顔は
酷く荒れていた。


目元が赤く腫れていて

何処かやつれている気さえする。


あ「ごめんな..俺のせいで」

Aは
そんな薬研に近づくと

壊れ物を扱うかのように

その頭を撫でた。


ふわりとした感触が懐かしくて

鼻をくすぐる優しい匂いが切なくて


あ「....ぅっ」


Aは静かに涙を流した。

サラリとした薬研の髪が
Aの指に絡みついて

すっ...と離れる。


最後の時間をゆっくりと味わうかのように
Aは息をした。






.







.








薬「たい、しょ...？」

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