【可愛いΩと】審神者は首を晒さない【未熟なα】

Ωの世界とαの世界４ ページ26

あなたside


加州清光という男の子が
僕のそばに近づいてきた。

あ「お、ねがっ..来ないで..！」


僕の声が届いてないみたいに

その人は足を止めなかった。




怖い、怖い、怖い、怖い。




恐怖一色で、塗り固められた脳が
がんがんと警報を鳴らした。

あ「っ、ひっ...や、..いや」

涙が溢れてくる。


体が疼いて、


どうにかしたいのに

どうにも出来なくて、


怖いのに

早く楽になりたくて、


反対の気持ち同士が入り混じって
すごくすごく気持ちが悪かった。


加「大丈夫。怖がらないで」


あ「っ、ぁ....！」


そっと、頭を撫でられる。


ビクリと体が反応して

全身に、痺れる感覚が広がった。


加「そういう気持ち、分かるから..
酷いことはしないよ。

だから、安心して」

その人は、切なそうに
苦しそうに笑うと

僕の唇に、そっとキスをした。



その時、初めて僕はこの人が
受けてきた酷いことを再確認させられた。


首元につけられた真っ赤な花が

無数に、広がっているのが見えたから。


あ「っ、なんで..」


君だって怖い筈なのに

嫌な筈なのに


加「アンタが、俺を愛してくれそうな人間だった。それだけだよ。」



恐怖よりも、

切ない気持ちが


僕の心を埋め尽くした。

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