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#12「顔」 ページ14

あ「あの、さ」

歩き始めて少したった頃

加「なに?」

俺はあったばかりの加州に話しかけていた。


あ「こんなこと聞いて何になるんだって
思うだろうけど...加州から見て
母さんって、どんな人だった?」

加「...俺から見て?」


くぐもった声を、俺は聞き逃さなかった。

加州の歩く速度が
少し落ちた気がした。


加「世話のかかる人、かな」


あ「世話の..かかる人?」


あの、なんでも出来そうな母さんが?

いつもしっかりしていて
俺の面倒を見てくれていた、あの人が。


あ「どうしてそう思ったんだ?」

俺には、とても想像がつかない。

加「あの人、結構やんちゃな人だったんだよ。
色んな刀剣男士をからかったり
予想外なことをやってのけようとしたり..
ま、成功したことないんだけどね」

加州が嬉しそうに笑った。

どれも、俺の見た事ない顔ばかり。
母さんのはしゃいでいる顔なんて

よく良く考えれば
見たことなんてなかった。



加「案外子供っぽかったんだよ、あの人」




そう。しっかりさせていたのは、俺自身だった。

何でもなんて、誰にもできない。

でも、なんでもさせようとしていたのが
俺だった。


あ「そっか、そうだったんだ。」






.







.






どこに向けるでもない相槌を

俺はなんども、こくりこくりとうっていた。

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作者名:みりん← | 作成日時:2018年1月24日 22時

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