後悔した36 ページ42
あなたside
ポツポツと
薬研が言葉を紡ぎ出す。
目を離したら、消えてしまいそうなぐらい
儚く見えた。
薬「俺っちは、『今を生きている大将』が、好きだった。」
薬研は、そう言って笑った。
今にも、泣き出しそうな顔をして______
あ「薬研...」
そんな顔を見てしまったら、もう
なにも言えなくなってしまった。
この小さな背中に、
何を背負っているのか
俺には到底分かることが出来なかった。
薬「まぁ、"分け隔てない愛情を皆に与える大将"が、好きだったんだ。
俺っちがただのそのうちの一振りだったとしても。
たとえ、『俺っち』を、見てくれなくても。」
その言葉が、胸に深く
突き刺さった。
俺も薬研みたいに、大人だったら...
幼稚な考えに
囚われないでいれたなら
愛情に固執することなんて
無かったのかもしれない。
この世の不条理を笑って受け止めていたなら、
特別になんてなれなくていい、それで充分だから。って、言えた筈なのに。
薬「愛なんて、そんなものなんだ。
それで、いいんだ。
.
愛は続かない。
どちらかが忘れれば...消えれば
それで、パーになるんだ。
想い続けるのなんて
辛くて、嫌じゃねぇか。」
想い続けるのを、辞めるのだって
辛いことなのに。
薬「死んだ愛は、沈めちまった方が
幸せになれる。
だから俺っちは、この思いを
思い出の中の『生きていた大将』と一緒に
捨てたんだ。
心の奥の奥に。」
いつの間にか、俺の目の前に来ていた薬研が
ぽんっと、頭を撫でてきた。
その手が、どうしようもなく
切なくて..寂しくて
胸がぎゅっと締め付けられた。
薬「まぁ、色々言っちまったが
今迄の"薬研藤四郎"はもう死んだ。
大将に愛されたかった馬鹿な俺っちは、
もう..ここにはいない。」
あ「っ、薬研..」
___ぽたり
俺の手のひらに
薬研の涙が一粒、落ちた。
薬「っ、だから...これからは、アンタの"薬研藤四郎"になる。
...それじゃ、いけないか?」
あ「っ、泣くなよ...」
そんなにボロボロ泣かれたら___
.
___泣きながら、微笑まれたら。
もう、頷くしかなかった。
そして、
.
こんな俺を必要としてくれる
薬研の優しさが
俺には暖かすぎて
無性に、なきたくなった。
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みりん←(プロフ) - ひまわりさん» そんなっ、そんなことないですッ!!文才は自他ともに認めるミジンコレベルなんで!!!そんなに褒めていただけるなんて...嬉しすぎます(泣)本当にありがとうございます!もう滅茶苦茶頑張ります!!!! (2019年7月26日 10時) (レス) id: a780c8df64 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - 文才の塊ですか!?一つ一つの情景がその都度頭に浮かんできて本当にすごいです!!素晴らしすぎてスクロールするたびにぞくぞくするくらいほんと好きです!応援しています!頑張ってください! (2019年7月26日 2時) (レス) id: cb9667eabc (このIDを非表示/違反報告)
みりん←(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます!夢主くんが幸せになれるように頑張りますねっ!! (2018年2月6日 23時) (レス) id: a780c8df64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - めっちゃ泣きました!夢主君も幸せになって欲しいです… (2018年2月5日 21時) (レス) id: 426404e208 (このIDを非表示/違反報告)
みりん←(プロフ) - love龍さん» ありがとうございます、そう言っていただけてとても嬉しいです!ティッシュ10箱献上致しますね...((はい!後編でも頑張ります! (2017年12月28日 10時) (レス) id: a780c8df64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん← | 作成日時:2017年7月21日 20時