【MHA】拝啓、奪うだけだった私へ【相澤消太】 (ページ4)

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理解したページ4

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色々な科があるからか、やはり校内は広い。一年生のクラスだけは迷わないようにしないと。

にしても…誰もいない、シーンとした校内って、なにか出そうで怖い。

私は少しだけ時雨にくっつく。

時雨「どうしたの？」

『いゃ、ちょっと不気味だなーって。』

時雨「ははっ。大丈夫だよ。」

中学を卒業して直ぐの一年生は、どんな感じであろうか。まだヤンチャさが抜けてないのかな。

この馬鹿みたいに高い倍率の高校に来るぐらいだ。皆、ヒーローを必死に目指しているんだろうな。

わかるよ、ヒーローのかっこよさ。私もそれに憧れてる一人だから。

『すごーい！食堂ひろーい！！！』

時雨「学校始まったら、一緒に食べに来ようよ。」

『そうだね！』

私は時雨とそんな約束をした。

中庭に出ると、桜の花びらが沢山舞っていた。入学式が始まる頃には散ってしまいそうだな。

すると、時雨が私に近付いて、私の髪の毛に付いた花びらを一枚一枚丁寧に取っていく。

取っている本人の髪の毛も相当やばいことになっているが。

『ありがとう。でも、時雨の髪の毛も相当やばいよ？』

時雨「嘘っ？！」

時雨が凄く慌てるので、私は笑ってしまった。

そんな時だった。桜色の温かい世界には似合わない黒色の人影。

その瞬間。一瞬だけ…世界が止まったように見えた。

「楽しそうな声が聞こえると思ったら……。新しく来た先生達だったか。入学式までにはそのたるんだ心を引き締めてもらわないと。……ここは雄英高校だ。」

『っ……。』

時雨「失礼ですが。ここは自由が校風だと聞きました。僕達がどうしようと、自分達の勝手では？」

時雨が反論する。

しかし、私の脳内は、そんなこと考えている暇などなかった。

何故彼がここに？

「新しい奴が反論とは。そういうの…嫌いじゃないよ。」

時雨「！」

「これからが楽しみだよ。」

そう言って、彼は私達の横を通り過ぎていく。

なにをやっているんだ、私は。今聞かなきゃ。またとないチャンスなんだから。

私は勇気を振り絞って、声をかける。

『あの！』

私の声に反応し、振り返る。

『私の事、覚えて…ないですか？』

目が合った。

「さぁ。俺達、初対面じゃないですか。」

ようやく理解した。

私は彼にとって、なんの変哲もない…ただの一人の少女だったのだと。

そして、捨てられたのだと。