【MHA】拝啓、奪うだけだった私へ【相澤消太】 (ページ15)

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取られる前にページ15

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間に合わない。そう一瞬で理解した。

やはり、私はちっぽけな人間なんだと。

『？！』

オールマイト「三人とも怪我は？！」

ポカーンと、私は突っ立つ。

あれ、私はさっき攻撃を食らいそうに……

時雨「千与！早く個性を返して！」

『え？あ、うん。』

時雨は直ぐ様、動き出してしまったヴィランを止める。

脳が理解出来ていない。何が起こっているの？

時雨「オールマイトさん、応援の方は！」

オールマイト「直ぐ来るよ！」

時雨「流石に千与みたいに、全員を止めることは……！」

相澤「援護する！」

早すぎて分からない。

これがヒーローというものなのかと、思い知らされた。

私は、何になりたいの……？私が歩んでいる道は正しいの？

時雨「千与っ！」

キラリと光る、銀色の刃。

命が取られる。

取られる前に。失う前に

“奪わなきゃ”

ガチャン、と刃物が落ちる。

そして、バタリと人が倒れる。

時雨「馬鹿ッ……！！何やってるんだよ！」

『奪われる前に、奪わなきゃ。』

時雨「ここは彼処じゃないんだ！千与!!」

『っ……。』

頭が痛い。

視界がグラつく。

私は何なの？私は…私は……

捨てられたくないだけなの。

捨てないで。正しくするから…

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no_side

時雨「千与の事、よろしくお願いします。」

「はい。」

時雨はやってきた救急隊に、千与を任せた。

塚内「デイム、一緒に来てください。」

時雨「そんなこと分かってますよ。」

内心嫌そうに、時雨は塚内と共に車に乗り込む。

千与の方に行きたかったのだろう。

塚内「やはり、千与さんの精神状態は不安定なままですか。」

時雨「ちょっとやそっとで癒える傷じゃないよ。ヴィラン側にいた期間が長すぎる。」

時雨は頬杖をつきながら、窓の外をジッと見つめる。

塚内「このまま雄英に置いて大丈夫ですかね。」

時雨「あんな堅苦しい施設よりはマシだと思いますけどね。ヒーローにさせるなら。」

塚内「話は変わりますけど、雄英高校に何故ヴィランが？心当たりとかありますか。」

時雨「いや、ないね。雄英のセキュリティ突破するとか……只者じゃないよ。」

夕日が照らす道路を、車は入って行った。