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相変わらず私にゲロ甘な人達だが、折角好きなものを買ってくれると言っているのだし断る理由は無いと考えた私は、取り敢えず以前から読みたかった小説を二つ頼んでおいた。
まさか過激な表現がある本じゃないだろうなと父から確認されたが、もちろんそんな事は無いと答えた。
何を想像したんだ。
この人達の私に対する甘やかしと過保護さは本当に昔から変わっていないな…。
因みに父の言う過激な表現というのはグロテスクなものや性的なものの二つを指しているのだが、父曰く、
「女の子が、しかもまだ子供なんだから読んではいけない。」
「Aのような可愛らしい女の子はそういう事を知らなくていい。」
との事。
一体いつの時代の話だよと心の中で愚痴を吐いた。
それから適当に祖父母の話をうんうんと笑顔で聞き流していると、
「夕ご飯は外でお食事にしますから早く来てくださいね!」
と母が部屋に入ってきて言う。
お腹すいてない…、と考える私の気持ちとは裏腹に、店に着いた瞬間出てくる大量のご飯に目眩がするまで後40分。
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「うぇっへ…。」
流石に無理して食べすぎた。
家に着いてからも気持ち悪さが消えず、かといってベッドに横になればお腹が圧迫されて吐いてしまうかもしれないという最悪な状況になった。
とにかく私は吐き気を紛らわすために、早速来ていた仲の良い友人の手紙や何故か届いたローズハート君の手紙を読もうと、ペーパーナイフを手に取る。
するとそのタイミングで母が部屋に入って来た。
しまったと思う頃にはもう母は私の手元を青ざめた顔で見ており、次の瞬間に耳が痛くなるような甲高い悲鳴を上げていた。
母の悲鳴を聞きつけたメイドや他の家族達は一体何だと私の部屋に駆けつける。
そして顔を青くして気絶した母とペーパーナイフを手に持ったまま固まって動かない私を見て、メイド達は母をすぐ横のベッドに寝かせ、父は急いで私の手からペーパーナイフを取り上げる。
そして父は私の肩を掴んで揺さぶりながら、
「何て危ない物を持っているんだ!刃物は持ってはいけないとあれほど言っただろう!」
と半分叫ぶように言った。
祖父はその場で固まって動かないし、祖母は座り込んで泣き出してしまう。
事情を知らない人から見れば、私が母に危害を加えた加害者に見えるようなこの状況。
たかがペーパーナイフを持っただけでこんな事になる家族を、私は蔑んだ目で眺めることしかできなかった。
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灰色(プロフ) - あきまるさん» うびゃあああきまるさんだ…!ウレチイ!!!!こちらこそ読んでくださってありがとうございました…! (2023年1月7日 19時) (レス) id: 23840e3b5f (このIDを非表示/違反報告)
あきまる(プロフ) - すげぇ今更だけど読み終わりました。リドルくんのメンヘラ具合と主さんの愛情の受け取り方がいい感じに絡み合ってあのラストになるのがとても切なくて素敵です…!ありがとうございました。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: 108e4cfb5a (このIDを非表示/違反報告)
灰色(プロフ) - しろつめさん» うれちい…!うれちい…!此方こそ読んでくださって本当にありがとうございました! (2022年5月25日 23時) (レス) id: 02fb3ffb1f (このIDを非表示/違反報告)
しろつめ - 蛙化苦し〜〜!?って思ってたら夢主が思ったよりかわいい心情でとてもすきだったし面白かったです……ラストも素敵! 完結おめでとうございます、素敵な作品ありがとうございました! (2022年5月25日 23時) (レス) id: a47367aeb2 (このIDを非表示/違反報告)
灰色(プロフ) - ありがと〜!こんな訳わからん小説好きっ手言ってくれてうれしいます… (2022年5月24日 16時) (レス) id: 02fb3ffb1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰色 | 作成日時:2022年2月28日 20時