第96話 ページ3
伊地知さんが運転する車の中、まだ悠二と話すには気まづさがあった。
「……悠二。まだ俺が怖いか？」
｢分からねぇ……でも、俺はあの姿の海斗もちゃんと受け入れたいと思ってる。｣
「悠二。ありがとう。そうだ。元気が出る魔法を掛けてやるよ。」
｢元気が出る魔法？｣
キョトンとした顔で俺を見つめる悠二。俺は悠二の前髪をかきあげて額に唇を落とした。
「なっ……。」
｢ハハっ、顔真っ赤。元気出た？｣
「ウス……。」
悠二は林檎のように顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。でもそれだけでまた元の関係に戻れたと俺は思った。
ふと窓の外を見ると学校に帳がおりているのを発見した。
｢伊地知さん！って、あ！こら悠二！！｣
悠二は走っている車から飛び降りると走って学校に向かってしまった。
「俺は悠二を追いかける！伊地知さんはこのことを七海さんに報告してください！」
｢は、はい！｣
伊地知さんは車を急停止させ、俺は悠二の後を追った。
「待てって悠二！！」
俺は悠二のフードを掴んで自分の元へ引き寄せる。
｢帳が降りたんだ！あのツギハギ野郎がいるってことだろ？！｣
「お前は人殺しの覚悟ができてそれを言っているのか？！」
｢ねぇよ！そういう海斗は人を殺したことあんのかよ？！｣
悠二の心にもない言葉が俺の心に刺さった。
悠二に人殺しと言われているようで……。
静まりかえった空気に悠二はやってしまったという表情で俺を見た。
「ぁ……わ、わりぃ海斗……そういう意味じゃ。」
｢あるよ。｣
「え。」
｢人を殺したことあるよ。だから悠二にはまだこんな思いをさせたくないんだ。｣
「ッ……。」
｢悠二。君は吉野順平を追うこと。俺はツギハギの呪霊を探す。少しでも危険だと思ったら俺を呼ぶこと。分かったな？｣
悠二はコクリと頷く。
きっと納得はしていないだろう。でも今はまだそれでいい。俺と悠二は学校内に入って行った。
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紫陽花(プロフ) - なうねうさん» ご指摘ありがとうございます。対応させていただきます。 (2021年2月28日 20時) (
レス) id: 3b41d3a8b8 (このIDを非表示/違反報告)
なうねう - オ-リ-ジ-ナ-ル-フ-ラ-グ-が立っています。ルール違反ですので外してください。 (2021年2月28日 15時) (レス) id: 7dc0e72ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫陽花 | 作成日時：2021年2月27日 15時
